中学受験の失敗学 (光文社新書)
 
 日本だけかはわからないが、ひたすら「子ども」「未来」「可能性」だとかいう言葉に弱い世論や社会性が存在しているような気がする。
 もちろん、それらは非常に大切である。とてつもなく大切である。
 わたしはそうしみじみ思うわけだが、大切なものとして考えるぶん、安易に明るさだけを強調したり、思考停止をしているように見える風潮には違和感を覚えることもまた多くなってきた。
 
 もし、本気で「子ども」や「未来」や「可能性」を大切に思うならば。
 なぜ、現実に起こっていることを冷静に見つめようとしないのだろう。
 
 
 「子ども」は「天使」によく喩えられる。(もしくは「天使」は「子ども」のような姿で描かれる)
 だから「大切に育てる」。これはいい。
 ただ、だからといって「子ども」が即「善性の化身」には決して成らない。往々にして自己中心的で、思慮が足りず、ひどく残酷な時さえもある。
 
 
 そう考えていけば。
 「中学受験」にも当然のように「良いことばかりではない」のは自明である。
 自明であるはずであり、明敏な保護者たちにはまして理解できるはずであろう。
 駐車場の車内に子を置き去りにして殺すような保護者ではない限り。
 
 
 本書の中には次のように述べる。
 中学受験そのものが不幸の生産装置になっているということではなく、中学受験をさせる以上、そこに伴われているマイナスの可能性に意識的でなければならないということです。P144
 良いことばかりが取りざたされているけれども、中学受験には悪いこともあるかもしれませんよ、それは納得していますか? という、換言するととても平易な主張の本である。
 
 それでも中学受験をするならば、こうすると惨敗しますよ、と筆者が言うのが以下。
①何でも習いっぱなしで、復習時間をほとんど取っていなかった
②塾や家庭教師の過密スケジュールのせいで、かえって知識の整理・定着がさまたげられていた
③子どもの偏差値をはるかに上回る学校で、第二志望以下も固めていた

 
 良いことも悪いことも理解する、そんな人間になりたいものだ。
「ずるい。ずるすぎる展開」の医龍最新刊。
 今回もハートを直撃です。
 話が進まないぞ、という酷評で有名なマンガでございます(苦笑)
 
 超泣いた。いやまぢで。
 ヲヤジなワタシ。
「なぜあの人はいつもやる気があるのか」
 =「やる気があるから」

「なぜあの人はやる気がないのか」
 =「やる気がないから」

というすごい言葉から始まる中谷節炸裂の本。

 人は、他者を変えることはできない。
 やる気がある者はある者同士、やる気のない者はない者同士で固まる。
 やる気がない者が自身で気付くまで、どれだけ他人がやる気を出させようとしても無益である。
 やる気を出そうとしている者にだけ、「いつもやる気をわきたたせる方法」に意味がある。

 底抜けに明るくて、とても冷酷な論理の文章であった。
 君たちがこの学校に学ぶのも、いよいよ今年度限りとなった。

 1日1日が、二度とこの学校で過ごすことのない日々。

 この学校には、並外れた、力のある教員が数多くいる。
 その中でどんな巡り合わせか、このわたしが、君たちを送り出す担任となってしまった。

 実のところ、「いいのか?」と自問自答し、逡巡していた。

 慈愛と厳愛から旅立っていった、一期生。
 知性を育てていった、二期生。
 そして君たちも在校生代表として見ていた、あの三期生の卒業。
 あの涙、あの言葉に、彼らがどれだけ大切にされていたかを心底感じた卒業式であった。
 
 
 「何組になっても、ただの順番や記号だ」
 そのように思うのは簡単だ。
 
 しかしわたしは、この1年間をただの仕事として、無味乾燥な日々として過ごしたくない。
 君たちひとりひとりを、単なる卒業生の数字として忘れ去りたくはない。
 君たちの胸中に何も残らないような、そんな学校生活にしたくない。
 
 あたたかく。
 他のどこにもない。
 この学校の系譜を継ぐ、そういう組であってほしい。
 
 この組が。
 卒業生の筆頭として誇り高く在る、そういう組であってほしい。
 
 だからわたしは、君たちに全力で語ろう。全力で仕事をしよう。
 そうして君たちが、二度と戻らないこの学校生活を充実させ、悠然と卒業していくことを期待したい。
 
 わたし自身の無関心・無慈悲の心を排し、どこまでも君たちが向上してゆけるような、そんな組にしていきたい。
 
 
 以上のような思いと、短時間で朝や帰りの連絡を済ませたいということとの両方を考えて、しばしばこのような形での配布物を出すと思われる。ご了承されたい。
 
 ただし、学級通信と言うにはいささか抵抗がある。この組に在籍する君たちのみを想定してわたしの思いを述べるつもりであり、たとえば保護者の方への分かり易ささえも後回し(もしくは想定外)だからである。
 
 
 ともかくも。
 君たち全員の良いところをたくさん発見する喜びを、充分に感じる1年間にしたいと思っている。
 どうかよろしく。

覚え書き。

2008年1月2日 読書
 自分にとって和田秀樹氏は勉強法の人なので、この人の医学成分が多めな著書を読むのは初めて。
 
 「感情」が老化する。
    ↓
 意欲や好奇心が減る。
    ↓
 積極的に自分から動かなくなる。
    ↓
 身体的なものも含めて「老化」する。
 
 
 こういうふうに言われれば当たり前かな、とも思わなくはない。
 
 
 
 以下、適当に趣意もしくは抜き書き。
 
 平均寿命を思えば仕事に就かなくなっても20〜30年ある。これは「余生」という感覚で捉えることのできる長さではない。
 
 「年甲斐もない」は最高の褒め言葉と思うぐらい、楽しめることを見つける。
 
 「不安」はコントロールできないが「行動」はコントロールできる。「不安」をバネにして「行動」を起こす。
 
 ごますりを気持ちよく感じたら老化の証拠。
ISBN:4088741315 小畑健 集英社 2006/07/04 ¥410
 
 「単行本版だと何かドッキリがあるんじゃねぇ?」とか期待してしまったわたしは愚か者ですかそうですか。
 
 これって松田と同じですか願望ですかそうですか。
 
 完結と言いつつも13巻目が出るよと書いてあってイカス。
 指人形欲しいゼ。
 …でも予約限定で3500円はヤリスギっしょ(^^;;

映画道楽

2006年6月30日 読書
ISBN:4835615409 鈴木敏夫 ぴあ 2005/04 ¥1575
 
 宮崎駿夫映画の(プロデューサーも何もかも含めて)立て役者である筆者による、連載の単行本化。
 
 宮崎アニメの舞台裏についても多く述べられていて、まあ興味深く読み進めることができる。
 
 たまには見えてこないことに視点を向けるのも良い。
ISBN:4061498274 速水敏彦 講談社 2006/02 ¥756
 
 これは必読書のような気がする。
 「まともな人間になりたい」と思う人全員の。
 
 現在進行的な問題を扱っているだけにサンプル数の少なさやデータの信頼度、考察の客観性はどうなのかなとも思うが、「現代の日本にいる人間」を考えるため大事なキーがあることを知ったように思う。
 
 これは読んだほうがいい。
ISBN:406340594X 二ノ宮知子 講談社 2006/06/13 ¥410
 
 ここのところ仕事場にこもりっきりで、他の人たちのweblogを見なかったら買うの忘れるところでしたよ。
 
 ひさびさに楽しく読んだ気がする。
 なんでかな、と考えたら、この前の巻あたりではのだめがへこんでいる流れで、読んでて重かったんだろうなあということに気がついた。
 
 やっぱ、明るい方が楽しいわな。
 
ISBN:408877079X 原泰久 集英社 2006/05/19 ¥530
 
 偶然に本屋で見かけて、買ってみた。
 ヤングジャンプで始皇帝の話が連載される御時世になったんですね。すげー。
 
 主人公はどうやら李信のようです。そもそもこの時代、始皇帝以外には陳勝・呉広、項羽と劉邦あたりが普通の人の知るぎりぎりな気もするから、どんなお話になっていくかは今後のお楽しみですね。
ISBN:4063537048 五月女ケイ子 講談社 2006/06/05 ¥1470
 
 世のお姉さまたちのハヅカシイ失敗話を集めた本。
 いやはや、抱腹絶倒。
 
 男女問わずに、変なことで苦労しているもんだねぇ。
ISBN:448780065X 東京雑学研究会 東京書籍 2006/06 ¥1470
 
 教科書や百科事典などで見たことのありそうな有名人の写真・肖像画を集めた本。
 
 歴代首相が全然わからなかった。うーむ。
ISBN:4063404889 二ノ宮知子 講談社 2004/06/11 ¥410
 
 名ばかりのそれじゃダメだって(汗)指導教官なので、毎日1度以上は教育実習生の控室になっている部屋に出入りする。
 
 国語は一人なのですが、数学・英語・理科・社会・芸術…たくさん居るわけですよ。実習生の方々が。
 
 実習生って若いんだな、と思った。
 そりゃそうだ。大学生なんだもの。
 
 で。
 せきね(仮名)、自分では真っ直ぐなつもりなのに、実習生の真っ直ぐさには負けてしまっている気がする。
 大学生の時のことは、昨日のことのように思い返すことができるのに。
 
 なぜか家でひさびさに「のだめ」の1巻から9巻まで読んだ。
 
 そっか。
 大学生の時の雰囲気が欲しくなったんだね、おれは。
 
 あんなに苦しい思いをして終えたというのに。
 懲りないな、おれ。
ISBN:4569637507 増尾清 PHP研究所 2004/08 ¥1418
 
 高校生の時からなんとなく疑問に思っていた。
 
 「四大公害病」を挙げるまでもなく、おれらが生まれる前から(特に日本には)さまざまな汚染が広がっている。もちろんアレルギーで苦しんでいる人はいるけれども、命に及ぶほどの被害がそう滅多に出ないのは何故だろう、と。また、本当に昔は汚染による被害はなかったのだろうか、と。
 
 ただ単に自分が知らないのか。
 これから自分たちの身に起こってくるのか。
 昔の人たちは汚染の被害が出る前に寿命の尽きることが多かったのか。
 
 自分たち一般人にできることは、座してただ待つのみなのか。
 
 奈良に大仏を作る時、銅を使ったことによる公害もあったらしい。中学か小学か、国語で田中正造の生涯を説明文で読み、衝撃を受けたこともあった。
 
 環境破壊。
 食品汚染。
 生きていくうえで逃れがたい災厄に、それからずっと関心を持ってきた。
 
 
 有害であるはずのものを食べ続け、なぜ元気なのか。
 弱い者から死んでいくのではなく、むしろずっと平均寿命が伸び続けている国、日本。
 
 この本は、おもしろい結論を出している。
 日本の調理方法に、有害物質を減らす役割があったのではないか、という。
 
  
 実用としてのインデックス方式なのだろうか、記述が重なる箇所もあったが、通して読んでしまった。とても興味深かった。
 「生きるための調理」「大切な人たち・家族を守るための調理」という観点もあるな、と思った。
 この有害物質がこのような影響を与えること、実際に有害物質が減ること、それらの確認も並行して調理実習をしたら、新しい家庭科・生活科の授業の地平がひらけそうな気がした。

DEATH NOTE (11)

2006年5月15日 読書
ISBN:4088740416 小畑健 集英社 2006/05/02 ¥410
 
 終わっちまいましたよ。とほほ。
 
 この人は絶対に続編に類するようなものは描かない人だからなあ。
 次に持ってくるものはものすごく違ったジャンルから題材を取ってくるし。
 
 連載が終わってから、いろいろな動きがあるらしいですね。
 でも追っかけるかは不明。
 
 
 初めて、連載を読んでいく雑誌が何一つ無くなってしまった事実。
 うーむ。
ISBN:465207820X 伏見憲明 理論社 2006/04 ¥1260
 
「よりみちパン!セ」シリーズ第2期最終巻。
 ちなみに伏見氏のシリーズ前作は、「さびしさの授業」。
 
 コレはおもしろい。いやマジで。
 
 けっこう本気で「よりみちパン!セ」シリーズを揃えたいのだけれど、まとまって置いてある書店がなくて新刊を探すのに苦労している。
 
 学級文庫をつくるセンセイ、学校の図書室に入れる本を決めるセンセイ、そういうヒトたちはこのシリーズを読んだ方が良い。
 かなりまじめに、中高生の気持ちに正対しているシリーズです。
 
 
 今までも取り上げているけれど、
 重松清「みんなのなやみ」「みんなのなやみ2」
 森達也「いのちの食べかた」
 玄田有史「14歳からの仕事道」
 養老孟司「バカなおとなにならない脳」
 それから伏見憲明「さびしさの授業」とこの本。
 かなりすごいんじゃないかな、と思った。
 読みやすいくせに深い。
 
 おすすめ。
ISBN:4091510787 山田貴敏 小学館 2006/05/02 ¥530
 
 ♪ぎ〜んの龍の〜背に乗って〜 のTV版は終わってしまいましたが、まだまだコミックは続いています。
 
 が、今回はインターミッションっぽい雰囲気が。
 というか、そうなっちゃうのか星野さん。んー。
ISBN:456964614X 山本康裕 PHP研究所 2005/12 ¥1260
ひとり 灯のもとに 文をひろげて 見ぬ世の人を友とするぞ こよなう慰むわざなる。(徒然草・第一三段)
 まさしく本を読むことについてズバリと核心を突いているなぁ、と思う。
 古文の参考書にして、単なる参考書にとどまらない。
 著者が45年にわたって教壇に立ち続けた(!!)、そのエッセンスと深みを行間に思わせる本だった。
 思わず夢中になって読んでしまった。
 
 行きたい、代ゼミ大阪校。
 ぜひ聴講したい。この先生の授業を受けてみたい。
 ……仕事を放り投げられるなら、そうして出かけたい(笑
 
 扱っている文法内容の敷居はやや高いです。
 でも難しいものを難しくせず、身近な問題提起に仕立ててあるところがスゴイ。
 今のおれでは及ばない、達人の技なんだろうな。
 でもまだ約30年ある時間で、到達してみたい境地ではある。
 
 
 PHPって、けっこう良いシリーズ出すんだよね。
 このシリーズ、5教科出ています。
 ウチの学校のG先生もこのシリーズの英語を持っていらっしゃっていて「なかなか良いね」と言っていたから、古典文法だけじゃなくて他の教科のも良いんだろうな、と思う。
 
 高校生全員には薦められないけど、意欲のある受験生は読んでみてもいいかもしれない。
 同業者には特に強くお薦め。読んで損はないと思われる。
ISBN:4478733171 前川タカオ ダイヤモンド社 2005/09/15 ¥1260
 
 作者はメールマガジン「リクナビCAFE」の編集長。
 若手社会人に対する仕事支援の話がつまっていて、これを読んでずいぶん勇気づけられるんだろうな、と思う。
 
 悩み多き駆け出しの社会人は、一読をおすすめします。
 
 
 わたしにとって、こういう本はコミックと同じような気軽さなんだよね。
 
 わたしは実のところ、人並みの企業訪問とかしてないのです。きっと。何十社と企業を調べたり、資料請求とかをしてないのですわ。さらに職場の様子も企業とはずいぶん違うだろうし。
 なので、知らなかった世界を垣間見て「そうなのか」と思うことしきり。
 
 
 当たり前だけど、勉強を教えた生徒たちは教員になることなどかなりレアなわけで、そうすると「いずれみんなこういう世界に入っていくんだろうな」とつい思ってしまう。
 
 
 ……こんな厳しい仕事世界、大丈夫かな、と考えてしまう子もほんの少し見かける。
 ふるまいとか、生活習慣とか。
 
 期限内に仕事を終わらせられない者は、信用を寄せられない。
 好き嫌いでむらのある仕事をする者に、重要な仕事は与えられない。
 あいさつやコミュニケーションがまともにできない者は、そもそも採用されない。
 
 これらは、学校生活を通じてかなりの部分を身に付けることができる。
 知性は高い生徒たちだから、感情を飼い慣らすことにも挑戦してほしいと思ってしまう。
 やっぱり、せっかくなら「良い仕事」をする社会人になってほしいし。
 
 これから変わっていくのだろうか……
 中学3年間で変わらなかったところもあるからなあ……
 希望の企業に入れるかということもあるし、続くかということもあるしなあ……
 
 うーむ。

プチ廃人。

2006年3月26日 読書
ISBN:4091270808 藤田和日郎 小学館 2005/12/15 ¥410

 家にいても、ちょっとした隙間時間があれば仕事っぽいことをずっとやってきて、逆に追われる仕事がないと少しの時間でももてあましてしまうという事態に。
 そうして「なんかビデオ見よう」と思ってレンタルショップに行っても、見たいものがレンタル中。
 うーむ。
「何か暇つぶしないかなー」と思ったら"一般作10冊以上だと1冊50円レンタル"なんていうことやってます。
 
 というわけで「からくりサーカス」6巻から40巻まで貸本レンタルしてきました。
 ↑↑ぉぃ↑↑
 
 ハガレンとエヴァと火鳳燎原それぞれ最新刊と築地魚河岸三代目3冊読んでいるから、なんか土日でコミック40冊以上読んでるよ(汗
 ↑↑ぉぃぉぃ↑↑
 
 で。
 すっごくおもしろくて、一気に読んだんだけどさ。
 すごく良かったんだよ。
 だけれども。
 やっぱし、コミックって得るものは少ないね。
 楽しいし、読みやすいけれど、活字と比べると得るものは少ないよ。幸か不幸か。
 
 それと、たとえコミックだろうと、「触れる量を増やさないと理解できない」ってことは言えると思う。
 「質より量」と言って努力を厭う風潮の世の中になって久しいけれど、やっぱり量はないとダメですよ。
 コミックも同じで、たくさん読まないと見えてこないものがある。
 
 これは、習い事だろうがスポーツの世界だろうが、万事に通じることなのだろうなあ。

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