県庁の星

2006年3月16日 読書
ISBN:4093861501 桂望実 小学館 2005/09 ¥1365
 
 映画原作ということでそこら中の本屋で面陳されている本なのですが、ようやく読みました。
 
 読み始めるとあとは早い。
 さっくり読み終える。
 
 平易なようでいて、内容は社会人向けだと思う。
 社会人じゃないと、きっとこの本の内容は理解できないし、つまらないと感じるんじゃないかな。
 
 登場人物みんな、どこかが自分勝手なんですよ。本の中で起きる出来事と出来事との間に、さりげなく書かれているけれど。
 
 人って、自分が思っているよりも愚かだ。
 作者の視点は辛辣である。
 それでもかろうじて、救いはある、ってことが描かれているように感じた。
 
 
 映画はどうなんでしょうね。
 原作通りだと、少しだけエンターテイメント性が落ちそうに思う。
 でも、軽いようでいてけっこう重いこの物語世界を映画から削ったら、原作の良さがずいぶん減ってしまうんじゃないかな。
 
 見に行くか。
 …行きたいなあ、映画。
ISBN:4901927264 国民教育文化総合研究所 アドバンテージサーバー 2005/07 ¥630
 
 フィンランドは健全な国である。
 福祉が充実し、経済も高水準で安定し、公的施設が整っている。
 
 それは「教育が支える国力」であるという。
 
 だから、国を挙げて教育に力を傾けている。
 全ての段階の学校で、教育費は無料。
 学用品はすべて支給される。
 教員には高い能力を求め、そのかわりに相当の好待遇をする。
 
 教科担当が細かく学習状況を見ているので、定期試験は無い。
 習熟度別授業は実施しない。
 1クラスの生徒数は25人程度。ただし語学に限りその半分となる。
 学級担任と教科担当は、別の者が行う。教科担当は授業のみを受け持つ。
 学校間での格差(偏差値など)は無い。
 
 たとえば小学校では。
 1時間目、授業を教える教員はまだいない。別の機関の者が、クラブ活動をしたり、選択科目の授業や学童保育のようなことを行う。
 2時間目・3時間目が授業。
 11時くらいに給食。
 4時間目・5時間目・6時間目が午後の授業。終わって約14時。校長も含めて教員たちはみな帰宅してしまう。
 7時間目以降はクラブ活動や学童保育。校外の専門家・インストラクターが学校の施設を使う。
 
 授業では、叱る叱られるということがほとんど無い。ときたま他の生徒の邪魔になる時に、たしなめられる程度。授業中に立ち歩くのも自由。水を飲みに行ったり、わからない子を教えたりすることもある。
 
 
 なんだ、この想像したこともないような「学校(=教育システム)」は。
 今まで「読んだ後すぐににもう一度読む」なんていうことはほとんどなかった。それだけ衝撃を受けたということだと思う。
 
 なぜそれで学習という行為が成立するのか。
 
 学校や教員を支える風潮がフィンランド国内でできあがっているということもあろう。
 また、家族は夕方4時には家にそろう。教員などもっと早くて2時過ぎには仕事が終わる。……つまり、それだけ家族で一緒に過ごす時間が長く、そのぶん家庭教育が浸透しているのだろう。日本で言うところの「ご飯の食べ方」「箸の持ち方」「他人へのマナー」などのことがより深く子どもたちに身に付いていて、そうして学校に集まってくるのだろう。給食の時間が戦争状態になることなど、あり得ないのではないかと思われる。
 
 さらに。
 単位制だった。
 単位をそろえれば高校を2年で終わらせる生徒もいる、とあった。
 小学校からすでに単位制になっている。
 教員が少人数クラスで学習状況を把握している。定期試験をしなくても、その生徒は何ができて何ができないかをずっと知っているのだ。言ってみれば、毎日が試験のようなもの。
 単位が取れなければ、取れるまで学習を続けるはずだ。
 
 想像する。
 せきね(仮名)が、フィンランド式で漢字を教える。
 出席などの記録は、違う教員が学級担任になっていて一切関知しない。
 毎時間漢字を教える。漢検3級程度の漢字を。
 クラスの生徒数は多くても25人くらいだから、一斉に試験をして点数を記録する必要もない。ずっと教えているから、誰ができて誰ができないかも理解している。
 3級ができるようになったら単位を認める。
 認められた生徒は、違う授業へ行くようになる。
 認められない生徒は、できるようになるまで授業に参加する。
 したがって、中学3年もいれば1年もいるし、場合によっては高校生や小学生もいっしょに授業を受けているかもしれない。
 それで構わないから、生徒が少々遊んで卒業が伸びても自己責任であり、他の生徒の邪魔になる場合だけ注意すればいい。
 習熟度別授業ではないが、どう見ても習熟度的な生徒の質の均一さになってくると思う。
 
 数学も英語もそうだ。
 習ったことができるようになった生徒は先に進んでいくが、そうでなければそのままだ。
 無理をして進級させる必要も無い。
 「できるまで同じ授業を受けなさい」というわけだ。
 シンプルで、きわめて合理的。それならば「一生懸命やりなさい」などと言うことも無く、急き立てる必要も無いだろう。
 
 それでは、別にフィンランドがものすごい理想郷というわけでもないのだろう。
 日本とは違ったシステムが、少しだけ教育を大切にしている社会とかみ合っている、ということなのだ。
 
 あるいは。
 習う年度を重視するか、習ったことが身に付くのを重視するか。
 
 
 もう少しこのことに関する本を読んでみたくなった。
ISBN:4806122785 白潟敏朗 中経出版 2005/09 ¥1000
 
 普通の人たちでも組み合わせによってものすごい良いアイデアが出るよ、というビジネス書。
 
「5人の凡人が1人の天才を負かす」には、
下記の「メンバーの組み合わせ」で会議をすることが必要。

1)「5〜7人」
 生産的な会議を行なえる限界の人数
2)「男女混合」
 異性の前ではやる気が出る・男女の観点の違い
3)「はじはじマン」
 他の参加者が安心して発言できる・柔軟な発想
4)「まんざいし」
 笑いは参加者のアイデアをかけ算にしてくれる
5)「まとめや」
 会議の、議事進行役・軌道修正役・まとめ役・書記
6)「個性的な人」
 周りと違った観点の持ち主、アルバイトでも可
  で。
 話し合いをして発想を組み合わせるとものすごい良いものができる、というわけだ。
 たしかにそうかもしれない。
 
 ただし、追加の項目がひとつ。
7)「ぼけぼん」
会議に入れてはいけない人がいる
じゃあ、「ぼけぼん」ってなんなのさ、と思う。
「ぼけぼん」とは……
 【後ろ向きな人】
 【自分を天才だと思っている人】
 【人の意見を聞かない人】
 【何でも一番でないと気がすまない人】
 要するに。
 「いいことをしよう」「やるぞ」と思っている時、その熱意に水を掛けるような真似をするヤツは不要だ、ということなのだろう。
 あるいは「何か大きなことをしたい」と思ったら、やる気のない者を遠ざけることから始めるべきだ、ということなのだろうか。
 
 
 たしかに、そうなのかもしれないなあ。

The MANZAI 1

2006年3月3日 読書
ISBN:4861762537 あさのあつこ 2005/12/01 ¥567
 
 これは1巻で、今回読んだのは2巻。
 この人は「バッテリー」で有名なんですけど、わたしはこっちの方が気楽に読むことができていいです。
 
 「あり得ないだろ」と思うよりも、「あったらいいよな」と思いたいですね。
 
 こういうのが、いやし系ってやつなんですかね…?
ISBN:4093797242 齋藤孝 小学館 2006/02 ¥1575
 
 試みとしては悪くないけれど、良い文もあればそうでもない文もあるのかな、という気がする。
 
 でもあれか。
 明治大の看板教授・齋藤孝氏がマンガについて熱心に語っている、というだけでも世に出す価値があるのか。
ISBN:4820802615 安野功 日本標準 2006/02 ¥1680
 
 読みようによっては、酷評。
 すまん。
 
 教育関係の本にもいろいろあるんですけれど、その中でのありがちなパターンがコレ系の本。
 
 今の日本では。
 「学校」って行っていない人はほぼ考えられないし、「教育」って受けていない人はほとんどいない。
 だから、誰でもひと通りのことが言えるんだな。
 老若男女、日本全国みんなが教育評論家。
 自分の中にある「理想の教育」を、いくらでも主張することができる。
 
 けれども。
 それが「多くの人に効果のある教育になっているか」とか、「実現可能な教育になっているか」とかは、別の世界の問題だったりする。
 
 教育関連の文を見ていて、思う。
 「実際の教室にいない」人たちの意見というのは、どこか現実性を欠いていることが、圧倒的に多い。
 
 「…いや、そりゃ無理だろ」って思う。
 まだ結論を出すのは早いのだけれども、そう思う。
 今のせきね(仮名)自身よりも時間をぜいたくに使って仕事をやることのできる教員はそうそう多くないと思うから。
「仕事をする量や時間を今の半分にして、準備時間を倍にしたらできるかもね」とか、「日本国内で優秀な人材のトップ順に教員にしていったらできるかもね」とか、「教員は自身の家族と生活のすべてを仕事の犠牲にすればできるかもね」とか、「勉強しない生徒を片っ端から追放していけばできるかもね」とか、思ってしまう。
 
 そんなの、無理だろう。
 
「授業やだな」と思う生徒がいて。
「かったるいな」と思う教員がいて。
「勉強はお任せ」と思う保護者がいて。
 それが現実で、時にはため息をついて過ごすのが学校っていうものなんだろうな、と思う。
 
 そういう中で、どれだけ「良いもの」を目指していくか。
 
 
 教育書にもいろいろある。
 
 この本は、決して悪い本ではない。
 けれども現実に日々起こる教室内での解決法にはならないと思う。
 たとえて言えば「まんが日本の歴史」みたいなもので、この本だけで勉強を終わらせたらとんでもないことになる、暇つぶしよりは有益な時間の使い方をしたい時に読む、といったところだろう。

ああ息子

2006年2月22日 読書
ISBN:4620317470 西原理恵子+母さんズ 毎日新聞社 2005/12/22 ¥880
 
 毎日新聞の大人気投稿コーナーからの単行本化だとか。
 いやはや、すごいすごい。
 こんな子ども、わたしには育てられんよ。
 
 母って偉大ですな。感謝せんと。
ISBN:4309017444 山田ズーニー 河出書房新社 2006/01/07 ¥1365
 糸井重里が帯に書いている。
 
 まるで鉛筆のように、
 その身を削って教える
 先生がいる。
 本気ってのは、
 ほんとに強い。
 
 
 ほんとスゴイ。
 曰く。 
 新しいものをつくるとき、かならず、空中分解のような、自分が不安定な状態を通過する。なぜなら、いままでのやり方、経験が、まったく生きない領域に、自分は「いる」からだ。当然、ゆきづまりになり、どんづまりになる。
 そこでは、たった1メートルの距離が歩けず、
 自分は、自分かと疑い、
 何をやっているか、どこにいるのかもわからなくなってくる。
 ゆきづまらなかったら、いままでの延長線上でものをつくっているということだし、まったく新しい領域に足を踏み入れたいなら、かならず、ゆきづまらなければならない。これはあたりまえのことだ。
 「限界突破」と人は、ひと口に言うが、自分の「限界」がくることと、それを「突破」することの間には、ながい、長い、空中分解期間がある。
 すごい。
 こういう識見を持ち、文章を書くことができるようになりたい。

DEATH NOTE (10)

2006年2月4日 読書
ISBN:4088740181 小畑健 集英社 2006/02/03 ¥410
 
 いや、実写には関心無いです。
 
 だって、なんか変なノートに名前書いたら心臓麻痺で死ぬって、観ていて全然面白くないし
 おまけにそう大した動き無いし。
 まして死神が実写で出てきてハリボテ感にじみ出ていたら大笑いしますよ?
 
 まあ、Yahoo!の映画情報で様子を見てからだろうね。

曹操孟徳正伝(1)

2005年12月23日 読書
ISBN:484011336X 大西巷一 メディアファクトリー 2005/11/22 ¥540
 
 これもメディアファクトリーの三国志モノ。
 どこからどう見ても「蒼天航路」には勝てません感バッチリ(汗
 
 読者層が不明。
 三国志オタク向けなら、「曹操孟徳」なんていうタイトル自体から軽蔑されるのは判っているんだろうか。
 ライト向けにしてはエログロが多すぎ。登場人物にも魅力を感じない。ヘンなところでリアリティを出しているから、読んでいると気持ち悪いんですが。こんなにすさんだ献帝くんを見るのは初めてだし、こんなにキモイ劉備たちを見るのも初めて。
 
 そもそも三国志の読者が期待しているのはヒロイックファンタジーであって、人物にしても時代にしても正確さは二の次だったりするのではないだろうか。
 
 見たいのは、英雄。
 他は、添え物。
 ソコラヘンが根本的にわかっていないような気がする。
ISBN:4840113351 陳某 メディアファクトリー 2005/11/22 ¥540
 
 三国志モノ。1・2巻を同時に買った。
 
 主人公は司馬懿という、なかなかあり得ない世界にできあがっています。おまけに裏で暗殺集団を率いているのだかいないのだか。
 三国志では聞かない名前が多数出てきますし。意味わかんねー。
 絵がきれいだから良いけどさ。
 
 
 しっかしメディアファクトリー。
 三国志だけで雑誌作って採算とれるの?
 途中で廃刊になって、連載が全部未完になってしまわないかということが心配だ。(^^;;
ISBN:4761907843 月刊ホームルーム編集部 学事出版 2001/12 ¥1365
 
 わたしにとって明治図書と学事出版は、良い仕事をするために必ず新刊をチェックするべき出版社。それに高文研を合わせると、仕事をする気持ちに余裕ができる。
 
 きわめて実践的に、推薦書をどう書くとどう受け止められるかが書かれている本。
 なるほど、そういうことになるのか、と新鮮な気持ちで読んだ。
 やはり、自分の気持ちを過不足なくなるべく正確に書こうとするには勉強しないといけないな、と思った。
 
 お受験なんて所詮は本人の能力だ。
 けれども。
 推薦書を書いて生徒を送り出すからには、できるだけ良い形にしたい。
 
 
 イラネーヨ と言われると、まぁどうしようもないわけだが。
ISBN:4062131331 小国綾子 講談社 2005/10 ¥1365
 
 対談というか何というか、水谷先生を含めた3人が思ったことを述べている本。
 
 やっぱり、やりきれない思いはあるんだよな、と思った。
 人なんだもの。
 
 満身創痍になって、それでも仕事を続ける強さが自分にもほしい、と思う。
 
 
 絶対、講演会に行きたい。
 夜回り先生が生きているうちに。
ISBN:4091531288 山田貴敏 小学館 2005/12/05 ¥530
 
 今まで買わなかったけれども、もともとこの人のマンガは結構好きだった。
 さらに医者系の話が自分の好みらしい。
 
 もっとはっきり言うと。
 信念を持って仕事をし、報われる物語が自分は好きなんだな、っていうことが判ってしまった。
 だから、「ブラックジャックによろしく」は読まなくなってしまった。イマイチすっきりしないから。
 
 ということでコレは新刊が出るたびに買うと思う。
ISBN:4535584591 水谷修 日本評論社 2005/10 ¥1365
 
 読んだ。
 なるほど、と思う。

JIN(仁) 第5巻

2005年12月6日 読書
ISBN:4088595475 村上もとか 集英社 2005/12/02 ¥530
 
 いや、医者モノなんだけど、江戸時代終わりころにタイムスリップしちゃうというキワモノ系。
 ↑失礼な
 そりゃ江戸時代から見れば神の世界だわな、現代医療は。
 
 と言いつつ、好きです。
 次に単行本が出るのはきっと1年後だけどね。
ISBN:4344001494 小泉吉宏 幻冬舎 2002/01 ¥1365
 
 3年前に発刊されていたとは知らなかった。手落ち。
 源氏物語の54帖を8コマのマンガで表現するという斬新な試み。作者はあの『ブッタとシッタカブッタ』の人。
 
 いくつかの帖の間にさらっと書かれている言葉が、辛口でおもしろい。
 
 「初恋は自分も周りも見えなくなることが多い。」とか。
 
 こりゃあ苦笑を浮かべて首肯するしかないよな。
ISBN:408873887X 小畑健 集英社 2005/12/02 ¥410
 「蒼天航路」の連載が終わってしまい、今現在で唯一連載を追いかけて読んでいるマンガがこれ。
 
 何ですか、今週の「週間DEATH-NOTE」の展開は(笑)
 というかここ2〜3週の話はすごい動きしてますって。
 
 どういう結末になるんですかねぇ。わくわく。
ISBN:4121010876 本川達雄 中央公論社 1992/08 ¥714
 
 なんとこの話題になった本の最初が教科書の教材になっていたりする。
 出たばかりの時に、大学生協で山積みになっていたっけ。
 
 さっくり読む。
 やっぱおもしろい。
 
 生物学はかなり好きだったりするのだ。
 この本のように哲学的(?)アプローチが加えられていると、さらに。

生協の白石さん

2005年12月2日 読書
ISBN:4062131676 東京農工大学の学生の皆さん 講談社 2005/11/03 ¥1000

 これまた人気のblogページ ttp://shiraishi.seesaa.net/ の単行本。
 おもしろさはwebの方が勝ちかな、と思う。
 けれども単行本の方は仕事をする者の気持ち、ひたむきさがかいま見える。
 
 どちらも良い。

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