ISBN:4820802615 安野功 日本標準 2006/02 ¥1680
 
 読みようによっては、酷評。
 すまん。
 
 教育関係の本にもいろいろあるんですけれど、その中でのありがちなパターンがコレ系の本。
 
 今の日本では。
 「学校」って行っていない人はほぼ考えられないし、「教育」って受けていない人はほとんどいない。
 だから、誰でもひと通りのことが言えるんだな。
 老若男女、日本全国みんなが教育評論家。
 自分の中にある「理想の教育」を、いくらでも主張することができる。
 
 けれども。
 それが「多くの人に効果のある教育になっているか」とか、「実現可能な教育になっているか」とかは、別の世界の問題だったりする。
 
 教育関連の文を見ていて、思う。
 「実際の教室にいない」人たちの意見というのは、どこか現実性を欠いていることが、圧倒的に多い。
 
 「…いや、そりゃ無理だろ」って思う。
 まだ結論を出すのは早いのだけれども、そう思う。
 今のせきね(仮名)自身よりも時間をぜいたくに使って仕事をやることのできる教員はそうそう多くないと思うから。
「仕事をする量や時間を今の半分にして、準備時間を倍にしたらできるかもね」とか、「日本国内で優秀な人材のトップ順に教員にしていったらできるかもね」とか、「教員は自身の家族と生活のすべてを仕事の犠牲にすればできるかもね」とか、「勉強しない生徒を片っ端から追放していけばできるかもね」とか、思ってしまう。
 
 そんなの、無理だろう。
 
「授業やだな」と思う生徒がいて。
「かったるいな」と思う教員がいて。
「勉強はお任せ」と思う保護者がいて。
 それが現実で、時にはため息をついて過ごすのが学校っていうものなんだろうな、と思う。
 
 そういう中で、どれだけ「良いもの」を目指していくか。
 
 
 教育書にもいろいろある。
 
 この本は、決して悪い本ではない。
 けれども現実に日々起こる教室内での解決法にはならないと思う。
 たとえて言えば「まんが日本の歴史」みたいなもので、この本だけで勉強を終わらせたらとんでもないことになる、暇つぶしよりは有益な時間の使い方をしたい時に読む、といったところだろう。

コメント

nophoto
私はアホ
2006年4月19日1:09

『そういう中で、どれだけ「良いもの」を目指していくか』ですか。
うむ、文科省の「よりよく」とあまり変わらない様な。
でも、義務教育の教師があまりにも勉強をしない(する暇が無いサービス業だということは理由にならん)事も問題である気がする。教師は教師以前に社会人として普通であることを所望したい。未だに、エビングハウスやピアジェ的発想では・・・・遅れすぎ。しかも、恵まれている環境なのに、被害妄想が強すぎ。

学ぶことが嫌いな人が、学ぶ資質・能力を育てることが・・・できるの?

「授業やだな」と思う生徒がいて=買いたくない客にどう買わせるか
「かったるいな」と思う教員がいて=適当に売れないかなという社員が居て
「勉強はお任せ」と思う保護者がいて=製品は何でも万能と思う客が居て

教師は生きていけるが、サラリーマンは首。そういう現実ですな。

「教師もサラリーマン化しているものですから」(校長)
「サラリーマンは明日、首になる。北海道へ転勤。それが、あたりまえ。教師とサラリーマンを一緒にするとは、失礼である」(保護者)

うむ、一票。

社会の中で、生きられる力を育むためには、教師が実社会を知らないと難しいですね。

全国の小中学校の授業を見て思うのは、スタイルよりスタンス。教え方にはいろいろなスタイルがあるけれど・・・・。

「あの先生熱心でいい人だよね」
「うん、だから最後まで説明を聞いてあげないとって思っちゃう」
「そうそう」
「聞いてあげないとかわいそうだよね」
by生徒・実話です

指導時間=学習時間では無いのですね。

この書評を書いている人も、独立変数と流動変数をごっちゃにしているところが、先生・・・なんでしょうか?。

さびしいですね。

せきね(仮名)
せきね(仮名)
2006年4月19日1:33

重複していたようなので、1個書き込みを消しました。
えーと、わたしのことを知っている方かどうかわからないですが、ともかくもわたしが書いたことへのご指摘をいただいていることへまずは感謝を。
 
ありがたいのでよく考えてみます。
 
それにしてもハンドルがせつないです……
もっといいお名前がありそうですが(^^;;

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