学校に於ける法の適用
合唱祭を大きな山として学年末の「有終の美」を目指すと同時に、新年度がそろそろ見えてくる、そんな時期になった。何人がきちんと進級できるか、クラス替えがどうなるか、担任が誰になるか、それがはっきりするのはまだ先ではある。
しかし、明らかになる日はいずれやって来る。
最近のせきねは、昼に授業をしクラスのことを考え、宵に歌人とその成せる短歌を調査し、深更に学校関連の事件や他の教員の仕事を学んでいる。
今は、学校に関わる法律について。
( http://www.fuji-law.ne.jp/qanda/qanda10.html )
(Q) 私の中学1年になる子どもが、同級生Aから階段から突き落とされ重傷を負いました。いわゆる「いじめ」で、学校の調査によれば、Aから日常的に被害を受けていたことが判明しました。学校の対応は良心的で不満はないのですがAを許せません。何か法的措置を取ることはできませんか。
(A) ご相談にある「いじめ」は、対加害者との関係では通常の傷害事件として考えることができます。従って、刑事・民事両責任の追及が考えられます。
まず刑事責任ですが、本来刑事告訴すれば、加害者は傷害罪として一定の刑事責任を負うのですが、本件ではAは14歳未満ですから刑事責任能力がありません。刑事責任能力とは行為の是非を弁別しこれに従って行動する能力のことをいい、重度の精神障害者などのようにこれが欠ける場合、刑事責任を負うことはないのです。13歳の子であれば通常この能力に欠けることはないのですが、刑法は刑事政策的立場から画一的に14歳未満の者は絶対的に刑罰を科されることがないとしたのです。従ってAに刑罰が科されることはありませんが、少年法により、教育的見地からなされる保護処分(児童相談所送致など)が付されることがあります。
次に民事責任ですが、「いじめ」を不法行為として損害賠償請求をすることが可能です。この損害には、治療費等の他に「いじめ」によりお子さんが蒙った精神的苦痛に対する慰謝料も当然含まれます。ただ、民事上も責任能力が問題となります。この場合、損害賠償など多少とも法律的責任を弁識しうる能力をいい、民法上は個別に判断されることとなります(通常は11〜12歳が肯定される目安です)。この加害責任能力が認められる場合にはA自身が損害賠償義務を負うことになり、その親は原則として責任を負いません。一方、加害責任能力が否定されると、Aは損害賠償義務を負わない代わりに、Aの親がAに対する監督義務違反として賠償責任を負うことになります。
簡単にまとめると。
たとえ学校であっても、事件が起きた時にケガを負わせた者は、刑事責任の上で傷害罪に問われる。14歳になっていない者は少年法によって例外となるが、その場合でもしかるべき施設に送られることがある。
また民事責任の面から考えると、ケガをした損害、精神的苦痛を受けた損害、両方の責任が追及されることとなる。民法では個別のケースによって責任能力が判断され、だいたい11歳から12歳あたりで正常な判断力があると見なされる。責任を果たすことができないと判断された場合、相手を傷つけた本人に代わって、親がその責任を負う。
ケガをさせられたり嫌がらせをされたりした場合、学校の対応とはまったく別に、法廷で決着をつけることができ、為されてきたことに対する結末が用意されるのである。
合唱祭を大きな山として学年末の「有終の美」を目指すと同時に、新年度がそろそろ見えてくる、そんな時期になった。何人がきちんと進級できるか、クラス替えがどうなるか、担任が誰になるか、それがはっきりするのはまだ先ではある。
しかし、明らかになる日はいずれやって来る。
最近のせきねは、昼に授業をしクラスのことを考え、宵に歌人とその成せる短歌を調査し、深更に学校関連の事件や他の教員の仕事を学んでいる。
今は、学校に関わる法律について。
( http://www.fuji-law.ne.jp/qanda/qanda10.html )
(Q) 私の中学1年になる子どもが、同級生Aから階段から突き落とされ重傷を負いました。いわゆる「いじめ」で、学校の調査によれば、Aから日常的に被害を受けていたことが判明しました。学校の対応は良心的で不満はないのですがAを許せません。何か法的措置を取ることはできませんか。
(A) ご相談にある「いじめ」は、対加害者との関係では通常の傷害事件として考えることができます。従って、刑事・民事両責任の追及が考えられます。
まず刑事責任ですが、本来刑事告訴すれば、加害者は傷害罪として一定の刑事責任を負うのですが、本件ではAは14歳未満ですから刑事責任能力がありません。刑事責任能力とは行為の是非を弁別しこれに従って行動する能力のことをいい、重度の精神障害者などのようにこれが欠ける場合、刑事責任を負うことはないのです。13歳の子であれば通常この能力に欠けることはないのですが、刑法は刑事政策的立場から画一的に14歳未満の者は絶対的に刑罰を科されることがないとしたのです。従ってAに刑罰が科されることはありませんが、少年法により、教育的見地からなされる保護処分(児童相談所送致など)が付されることがあります。
次に民事責任ですが、「いじめ」を不法行為として損害賠償請求をすることが可能です。この損害には、治療費等の他に「いじめ」によりお子さんが蒙った精神的苦痛に対する慰謝料も当然含まれます。ただ、民事上も責任能力が問題となります。この場合、損害賠償など多少とも法律的責任を弁識しうる能力をいい、民法上は個別に判断されることとなります(通常は11〜12歳が肯定される目安です)。この加害責任能力が認められる場合にはA自身が損害賠償義務を負うことになり、その親は原則として責任を負いません。一方、加害責任能力が否定されると、Aは損害賠償義務を負わない代わりに、Aの親がAに対する監督義務違反として賠償責任を負うことになります。
簡単にまとめると。
たとえ学校であっても、事件が起きた時にケガを負わせた者は、刑事責任の上で傷害罪に問われる。14歳になっていない者は少年法によって例外となるが、その場合でもしかるべき施設に送られることがある。
また民事責任の面から考えると、ケガをした損害、精神的苦痛を受けた損害、両方の責任が追及されることとなる。民法では個別のケースによって責任能力が判断され、だいたい11歳から12歳あたりで正常な判断力があると見なされる。責任を果たすことができないと判断された場合、相手を傷つけた本人に代わって、親がその責任を負う。
ケガをさせられたり嫌がらせをされたりした場合、学校の対応とはまったく別に、法廷で決着をつけることができ、為されてきたことに対する結末が用意されるのである。
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