わたしには夢がある (I have a dream.)

 アメリカでは、歴史を変えた4人の偉人の誕生日(またはその人にちなんだ日)を祭日としている。その4人とは、
 コロンブス(10月、アメリカが発見された日)、
 ワシントン大統領(2月)、
 リンカーン大統領(2月)、
 マーティン・ルーサー・キング牧師(1月)である。

 キング牧師は1929年1月15日、ジョージア州アトランタに生まれた。
 世界中を巻き込んだ第二次世界大戦も終わり、自由と平等が実現された国のように思われていたアメリカ。けれどもこの国でさえ、まだ人種の平等はなかった。南部の州のほとんどが、人種隔離制度をかたくなに守り続けていたのである。それは、公共施設に始まってバスの席に至るまで、徹底的に白人用と黒人用を分けるものであった。
 そして、黒人には不当な差別を撤廃する政治家を支援するための選挙権さえなかった。そんな隔離制度を撤廃し、黒人に選挙権を与える公民権運動に立ち上がった指導者が、キングであった。

 キングが運動に参加し始めたのは26歳。以来、反対派や州警察からさえ何度も暴行を受け、投獄され、胸を刺されて危うく一命を取り留めるということもあった。家に爆弾を仕掛けられ家族を殺されそうになりながらも、「暴力には魂の力をもって応えなければならない 」と訴え、あくまでも非暴力による運動を指導するのである。
 彼は、インドのガンジーによる非暴力主義を、人種差別をなくす運動の手段とし、魂の力によって戦ったのであった。そして牧師として着任していたアラバマ州のバス内での人種差別に抗議して、1955年から56年にかけて公営バスのボイコット運動をし、これを非暴力の行動によって成功させる。

 キング牧師は説き続けた。
「闘いの本質は、白人に対して黒人が勝利することではない。すべての人の自由と平等という、民主主義の勝利を勝ち取ることである。それこそが、白人と黒人がともに見るアメリカの夢である 」と。
 ノーベル平和賞を受賞し、39歳で暗殺者の凶弾に倒れるまで。
 
 
 わたしには夢がある。
 いつの日にか、ジョージアの赤土の丘の上で、かつて奴隷であった者たちの子孫と、かつて奴隷主であった者たちの子孫が、兄弟として同じテーブルに向かい、腰かける時が来るという夢が。
 
 わたしには夢がある。
 いつの日にか、わたしの4人の幼い子どもたちが、肌の色によってではなく、人となりそのものによって評価される国に住む時が来るという夢が。

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