無い。
 才能が、無い。
 
 まるで「BUSIN 0」のようだが、無いモノは無いのである。
 
 
 職業柄、小論文を指導するっていうことがしばしばある。
 構成を考えて、適切な例を引いて、論旨に矛盾のない文章を書く。
 
 ちょっと必要があって、小論文を書いた。
 1000字書くのに、3時間かかってしまった。
 
 時間をかけ過ぎである。
 もし試験会場での小論文であったら、完全にタイムアウトである。
 もちろん試験を受けたわけではないのだが、これにはびっくりした。
 大学入試の二次試験、院の入試、教員採用試験、今まで「制限時間の中でいかにして文章を仕上げるか」で局面を切り抜けてきていたという自覚があったのだけれども。
 「筆を持てばたちどころに文を為す」なんていうのにもちょこっとあこがれていたから、なおさらショックである。
 
 「騎手が馬より速く走ることができる必要はない」という言葉も思いついたが、この場合にそれを言っては自己弁護に過ぎるだろう。
 
 速く、きっちりと、小論文を書ければベストであり、そのためのノウハウは予備校の世界で存在しているはずだ。
 それを使えていないということは、今のやり方は国語便覧に毛が生えた程度だ、ということだ。(国語便覧は程度が低い、というわけではない。国語便覧は普通、使いこなせないのである。アレを教科書として使ったり、隅々まで使いこなせたりしたら、ものすごい実力があると思う)
 
 なんでそんなに時間がかかってしまうか、ということを考えると理由はひとつ。
 
 才能が、無い。
 ……いや、まあそうなんだけどこう言うとジンセイ終わってしまう。
 
 こだわりすぎ。
 
 これに尽きるだろう。
 出典はたとえ明示しなくてもきちんとさせたいし、この表現で誤っていないだろうかと思うし、別なもっとすぐれた表現があるんじゃないかと考えたりもする。
 (↑今考えながらこの1文を書いたわけだが、もし原稿用紙で書いていたら、書き直しに書き直しが二重、三重にもなって字が読めなくなりそうな気がした。)
 
 こんな調子では、試験会場にパソコンのメモ帳を持ち込んで、制限時間を2倍にしてもらわないと文が書けない。
 ……んなアホな。(汗)
 
 幸いにも、試験会場で小論文を書く方法のアドバイスはしてこなかった。今まで指導したことがあるのは、すべて「事前に提出する小論文」についてであったから、まあ少しは役に立っただろうと思いたい。
 
 
 試験会場で、紙と鉛筆で仕上げる小論文。
 なんだか笑ってしまう表現だが、かつて「なんとなく」でやってしまっていたこの勝負の勝ち方を明確にし、身につけないとイカン。
 
 なんで今まではこんなことを考えずにできていたんだろう。
 すっかり衰えてしまっているんだろうか。
 ひょっとして、自分ではまともなつもりでも、以前は相当ひどかったのだろうか。
 
 あのとき提出した試験の答案、当たり前だけど返してもらってないからなあ。
 うーむ。

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