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2003年10月3日 お仕事 高等部の職員室に行って、理科の先生といろいろ話し込む。
高等部の理科は、物理・化学・生物・地学と分かれているのだが、担任するクラスで、自分が教えているのとは違う分野の理科の平均点が、ものすんごく低いらしい。はっきりと覚えていないのだが、30点行かないだとかなんとか。もちろん満点は100点。
「自分でやってもうまくいかない可能性はあるよ。でもせめて自分で授業を持ちたいよ」と、その教員は言う。
去年のボクとおんなじだ。
自分の手出しできないところで悪いことが起きている、この悲しさ。
「生徒の質問をなるべく多く受けてあげるしかないんじゃないかな」という程度しか言えなかった。
ただ、ボクには相容れない意見もある。
その教員は言うのだ。
「高等部3年で担当している文系理科がさ、悩みどころなんだよね。国公立を目指す子たちのために入試問題の過去問をやったりするんだけどさ、文系の私立大を目指している子たちにとって、授業は難しいし必要ないし、で熱意がまったく無いんだよね。内職しているから騒がないだけマシなんだけどさ」
「それは違うんじゃないかな」
ボクとしては言わざるを得ない。
「授業である限りは、理科をやらせきゃダメでしょ。内職を認めたら、『授業中に授業と関係ないことをやっている』という意味じゃあ、マンガ読んだりケイタイいじっているのと変わらないよ」
さらにボクは言う。
「私立志望だなんて言っても、先生の担当しているところは、たしか文系国公立クラスじゃなかったっけ?」
「そうだけど」
「じゃあ余計やらせなきゃじゃん。たとえ今年受験するのが私立だけでも、もし浪人したら志望先が国公立になる可能性だってあるし。そしたら先生のやっている理科の授業が大事になってくるかもしれないよ」
「まぁね」
「そもそも、『受験に使わないから理科やりません』『でも理科の成績ください』なんておかしいよ。もし授業を受けないっていうなら、"落第を覚悟して"理科をやらなければいいじゃない。それぐらいの度胸は見せてもらおうじゃん? 高3なんだからさぁ」
「んー」
「絶対、先生の"黙認"に甘えてるって。ボクさぁ、体育教官に対して、"受験に使わないから体育やらずに内職する"なんてヤツ見た時ないよ。あれってさ、怒られるからやらないんだろ?」
「んー」
その教員は、困ったように笑っていた。
まあ、この人は他人の助言が受け入れられない時はこうやって笑うのを知っているんだけどね。きっとあと少しの授業のあいだ、同じようにして授業は進んでいくんだろうね。
寛容と無原則はちがう。
生徒自身の利益を考えれば、「受験は私立だけ」なんていう狭い視点ではなく、国公立も視野に入れつつ実力を養っていった方が良いように思う。センター試験を受ける前から選択肢を減らしている気がするのだ。
教員の側から見れば。
教壇に立つかぎり、「内職を許さない」という気概を捨ててはいけないと思う。そう言いきれるだけのモノが教員になくてはならないだろう。
ボクは、生徒たちとどんなに親しげでも、教員を始めた当初から「授業を聞け」という姿勢を崩すつもりはなかった。
基本は、すべて没収。
ケイタイいじっていたら、没収。
授業中に鳴ったら、没収。
マンガ、没収。
文庫本、没収。
別の教科の宿題、没収。
なんかもそもそやっているのを見かけると、ボクはその子のところに近づく。
授業以外のことをしていると、慌てて何かを隠すんだよね。
そうすると、ボクは迫るわけだ。
「出しなさい」
そういう時のボクは、イヤそうな顔をしても退かないのです。
「今しまったものを、出しなさい」
「預かります」
そうして、皆に対して言う。
授業は、せきねが責任を持って担当している。
これは必死になって働いてお金をもらい、そこから学費を出している、キミらの親御さんとの約束だ。
キミらがアタマ良くなるように、切実に願っている親御さんとの約束だ。
なんとしても期待に応えなくちゃいけない。
だから、授業中にちがうことをしていたら。
その道具はお預かりします。
ちなみに。
授業後に「返してください」と言われても、その場では返しません。
授業中は、せきねの責任でキミのものを預かりました。
預かったものを返すかどうかは、各クラスによってルールが違います。
だから担任の先生にご報告をしてお渡しします。
あとでキミ自身から担任の先生に事情を話してください。
それで返してもらえるかどうかは決まると思います。
なんてことを言う。
結構まじめである。
担任が授業で起こったことを知らないところから、クラスの雰囲気が崩れていくだろうから。
もし、ちょっとした気のゆるみだけが原因なら、すぐにモノは返される。
逆に、毎日いいかげんなことをしていたら、モノはずっと返ってこない。
すべて本人の日頃の行い次第だ。
ボクはこういうやりようが良いと思っているんだけど。
実際はどうなのかなあ。
高等部の理科は、物理・化学・生物・地学と分かれているのだが、担任するクラスで、自分が教えているのとは違う分野の理科の平均点が、ものすんごく低いらしい。はっきりと覚えていないのだが、30点行かないだとかなんとか。もちろん満点は100点。
「自分でやってもうまくいかない可能性はあるよ。でもせめて自分で授業を持ちたいよ」と、その教員は言う。
去年のボクとおんなじだ。
自分の手出しできないところで悪いことが起きている、この悲しさ。
「生徒の質問をなるべく多く受けてあげるしかないんじゃないかな」という程度しか言えなかった。
ただ、ボクには相容れない意見もある。
その教員は言うのだ。
「高等部3年で担当している文系理科がさ、悩みどころなんだよね。国公立を目指す子たちのために入試問題の過去問をやったりするんだけどさ、文系の私立大を目指している子たちにとって、授業は難しいし必要ないし、で熱意がまったく無いんだよね。内職しているから騒がないだけマシなんだけどさ」
「それは違うんじゃないかな」
ボクとしては言わざるを得ない。
「授業である限りは、理科をやらせきゃダメでしょ。内職を認めたら、『授業中に授業と関係ないことをやっている』という意味じゃあ、マンガ読んだりケイタイいじっているのと変わらないよ」
さらにボクは言う。
「私立志望だなんて言っても、先生の担当しているところは、たしか文系国公立クラスじゃなかったっけ?」
「そうだけど」
「じゃあ余計やらせなきゃじゃん。たとえ今年受験するのが私立だけでも、もし浪人したら志望先が国公立になる可能性だってあるし。そしたら先生のやっている理科の授業が大事になってくるかもしれないよ」
「まぁね」
「そもそも、『受験に使わないから理科やりません』『でも理科の成績ください』なんておかしいよ。もし授業を受けないっていうなら、"落第を覚悟して"理科をやらなければいいじゃない。それぐらいの度胸は見せてもらおうじゃん? 高3なんだからさぁ」
「んー」
「絶対、先生の"黙認"に甘えてるって。ボクさぁ、体育教官に対して、"受験に使わないから体育やらずに内職する"なんてヤツ見た時ないよ。あれってさ、怒られるからやらないんだろ?」
「んー」
その教員は、困ったように笑っていた。
まあ、この人は他人の助言が受け入れられない時はこうやって笑うのを知っているんだけどね。きっとあと少しの授業のあいだ、同じようにして授業は進んでいくんだろうね。
寛容と無原則はちがう。
生徒自身の利益を考えれば、「受験は私立だけ」なんていう狭い視点ではなく、国公立も視野に入れつつ実力を養っていった方が良いように思う。センター試験を受ける前から選択肢を減らしている気がするのだ。
教員の側から見れば。
教壇に立つかぎり、「内職を許さない」という気概を捨ててはいけないと思う。そう言いきれるだけのモノが教員になくてはならないだろう。
ボクは、生徒たちとどんなに親しげでも、教員を始めた当初から「授業を聞け」という姿勢を崩すつもりはなかった。
基本は、すべて没収。
ケイタイいじっていたら、没収。
授業中に鳴ったら、没収。
マンガ、没収。
文庫本、没収。
別の教科の宿題、没収。
なんかもそもそやっているのを見かけると、ボクはその子のところに近づく。
授業以外のことをしていると、慌てて何かを隠すんだよね。
そうすると、ボクは迫るわけだ。
「出しなさい」
そういう時のボクは、イヤそうな顔をしても退かないのです。
「今しまったものを、出しなさい」
「預かります」
そうして、皆に対して言う。
授業は、せきねが責任を持って担当している。
これは必死になって働いてお金をもらい、そこから学費を出している、キミらの親御さんとの約束だ。
キミらがアタマ良くなるように、切実に願っている親御さんとの約束だ。
なんとしても期待に応えなくちゃいけない。
だから、授業中にちがうことをしていたら。
その道具はお預かりします。
ちなみに。
授業後に「返してください」と言われても、その場では返しません。
授業中は、せきねの責任でキミのものを預かりました。
預かったものを返すかどうかは、各クラスによってルールが違います。
だから担任の先生にご報告をしてお渡しします。
あとでキミ自身から担任の先生に事情を話してください。
それで返してもらえるかどうかは決まると思います。
なんてことを言う。
結構まじめである。
担任が授業で起こったことを知らないところから、クラスの雰囲気が崩れていくだろうから。
もし、ちょっとした気のゆるみだけが原因なら、すぐにモノは返される。
逆に、毎日いいかげんなことをしていたら、モノはずっと返ってこない。
すべて本人の日頃の行い次第だ。
ボクはこういうやりようが良いと思っているんだけど。
実際はどうなのかなあ。
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