1時間目。古文。「絵仏師良秀」終了。
 基本ではおそらく3時間の教材だが、かつて無いほど時間をかける。
 ○読み・歴史的仮名遣い
 ○現代語訳
 ○主題
 ○用言の活用表
 ○用言の文法的説明
 ○係り結びの法則
 ○接続助詞「ば」の用法
 ○助動詞「き」「けり」「ず」「つ」「ぬ」「たり(完了存続)」「り」「なり(断定)」「たり(断定)」「む」「むず」
 
 
 中等部に来客あり。
 次の授業のために印刷に行ったところ、そこまで追いかけられて事務室から内線。こんな感じで「何故おれがココにいることがわかる?」度々ある。…ウチの事務室はタダモノではない。(^^;;
 
 来客を受ける予定だった教員が休みらしく、昨年度まで担当だったおれが急遽代打となったようで。……ってその判断も事務室なんだからスゴイって。(笑
 
 印刷室からとって返し、机の中から名刺一枚持って事務の窓口に行き、応接室で会ったのは漢検の人。
 ありきたりの話をして何かの資料をもらって終わりかな、と思ったのは一瞬。すさまじいぐらい怜悧な人だったので、遠慮無くさまざまな話をした。
 最初に内線を受けて「かんべんしてくれよ」と思っていたのも都合良くどこかへ放り投げて「こんな時に白羽の矢を立ててくれた事務室万歳」と思ったぐらいである。
 公立中高の実情、大学の漢字への取り組み、企業の求める人材像、私立中高の様子。おれ一人では知り得ないこと、しかも知りたかったことが次々と話題に挙がっていく。
 
 いやはや、天運を掴んだとしか思えない。だって、予定外のところからの巡り合わせなのだから。
 中等部の教員から高等部の教員になっている。
 会う予定の教員が急遽の欠席。
 他の中等部国語科教員もすべて授業で出払っていた。
 そもそも漢字検定の担当から外れていた。
 それでもおれの空き時間である2限目・3限目かけてつねづね求めていた外の世界の国語教育をかいま見ることができた。
 
 こういう縁は、一度逃すと絶対に取り返しがつかないものだ。
「この度は当初約束をいたしました担当の者が居りませんで、大変な失礼を致しました。しかしながら私としては貴重なお話をお聞きいたしまして、とても嬉しく思います。…もしよろしければ、今後担当の者が居ります時でも、私もお話に加えていただけませんか? というか『ダメ』と言われるまで担当外でもなぜか列席していますが(笑」
 冗談っぽいが、気持ちは真剣に言ってみた。
「ぜひどうか、こちらこそお願いいたします」
 ……言わせましたぜ、ふっふっふっ。
 
 
 4時間目・やはり「絵仏師良秀」。
 直前までの知的興奮冷めやらず、燃える男のまま授業突入。
 休み時間がまったく無いのだが、却って元気な有様。
 
 ちなみに燃えて気分が高揚していると、普段はそれなりにおとなしくしているつもりのガラがけっこう悪くなってしまう。
 「年相応に」とか「良識ある教員らしく」とか、一応考えてはいるのである。けれど、ときおり自分が高校生だった時のノリになってしまっているな、というのを感じるのである。
 
 言葉の端々にまで気を配った発問・指示を心がけた、良識と知性のある授業をめざす自分。
 ともかく勢い、学習事項の例文も徹底して"ふざけている"し、下品上等、生徒がだらしなければ「ふざけんな」言うわ、世の中に悪事があれば「脳ミソ腐ってますな」「足りないぶんカニミソ入れた方が良いんじゃない」ぐらい言ってしまう自分。
 うーむ。
 高校の時の「恩師」は、ガラが悪かったところがけっこう好きだった。
 教員になってからの「恩師」は、どんな教材も知的な授業に変えてみせる姿に強くあこがれた。
 やっぱものすごく影響受けているんだろうなあ。あっはっはっ。
 
 
 昼休み・5時間目。
 ここのところ昼食を摂る日が週の半分ぐらいだったり。昼休みにハラ減ったとなかなか感じないこともある(午前中のデスクワーク時とか、放課後とかにそのぶん食べている)し、昼を食べなければ食べないで仕事ができるのでそれもアリかな、と。
 
 で。
 「生活記録」を、「ぅひぃぃぃぃぃ〜」という奇声を上げながらチェック。帰りの会までに片づける、時間ギリギリだからである。近くの机の先生たち、ごめんなさい……。
 
 
 6時間目・漢文「漢文の基礎」。
 時間前に教室に着いていたのに、5分以上も開始が遅れてしまう。
 生徒が着席していない、ということもある。けれどもそんなことは判りきっていることで、それを見込んで授業を組み立てれば良いだけではないのかと最近思っている。
 
 別に大したことではなく、「きちんと席に着く生徒」「授業の用意をしている生徒」が得をする授業開始になれば良いだけである。
 いきなり復習。いきなり板書。
 それだけできっと「準備をしている生徒」に報いることになるのではないか。
 その後に、最後まで「場を読めていない」生徒には、「授業だ」ということを知らせれば良い。
 そんな気がしている。
 
 で、なんで遅かったのかというと。
 前の時間でのプリントが6種類配られかけている状態だったから。
 「…ちょっと待ってくれよ」と正直思ったが、ぐっと我慢する。
 "いきなり"ができず、何回も呼びかけて生徒を着席させる。
 「プリントが6種類あります」
 「今ナンバー4を配ります」
 「前の者は後ろの者のために、すばやくまわしなさい」
 「余ったプリントは前に持ってきなさい」
 「足りない人は前に取りに来なさい」
 順番に指示していって、ようやく収拾をつけたのが5分強というわけだ。やれやれ。
 いや、担任だけどさ。
 教科担当としての授業時間を、他の教科のために削ることを強いられるのはあまり良い気分ではないよ。ましてプリント6種類を配ったんだか配っていないんだか判らない状態で教卓に半ば放置されているというのは。生徒の係にやらせるにしても、ちょっと多い気がする。みんなが座っていないと混乱のもとになるから。授業時間内でやってほしいところである。
 
 ひょっとして授業が成立していないのかな、とも考えた。
 もしそうならば教員もあんまり教室に入っていたくないわな。
 それでも、授業の中で何とかしてほしいなあ。
 授業では、教科担当が絶対の指導力を発揮してほしい。
 
 他の授業がどうであろうと、自分の授業ではこうする、そうして生徒諸君には実力をつけてみせる、そういう自負を(たとえ強がりでも)持つのが、教員という職業だと思う。
 本来、教員がこんな自信と責任とを持っていれば、よっほどのことがない限り、授業はきちんと成立すると思うのだ。
 
 わかりにくい学習内容をわかりやすくする。
 普通に学校へ来ている生徒、授業中に座っている生徒は、とりあえず授業を受けようという気持ちがたとえ0.01%でもあるから教室にいるわけで、そうでなければ立ち歩くか、どこかに隠れているか、そもそも学校に来ない。
 授業に引きつけようという努力は、教員である限りは絶対になくならない。
 
 その一方で。
 
 授業が成立しなくなるような要素には徹底してひるまずに対決すべきではないか、特に最近の「学校」にはこの点が欠けているのではないかと思える。
 
 授業中にトランプをしている。
 ふざけるな、となぜ言えないのか。
 お前に与える成績など無い、となぜ断言できないのか。
 担任だから、担任ではないから、などはいっさい関係ない。
 不思議で仕方がない。
 
 体調が悪くて保健室に駆け込み、授業に居なかったら欠課である。
 では、なぜ授業中にずっと寝ていても出席となるのか。
 授業中にまったく勉強していなくても出席となるのか。
 不思議である。
 
 「おまえ、おれの授業居なくていいから」
 「年間の3分の1以上、授業出るな。誰にも文句の付けようのない形で留年になるから」
 「寝ていて、起こしても起きなかったら、時間に応じて遅刻や欠課にするから」
 伝家の宝刀であり、そのうちこう言うかもしれないよ、と知らせた生徒もいる。
 
 こう断言できるくらいの自信を持ち続けて教壇に立ちたいものだなあ、と思う。
 
 話は戻って漢文。
 書き下し文を16書かせた。
 ただの語順は余裕である。
 助詞・助動詞をひらがなに直すこともできている。ただし、活用させて書き下すことが少し弱い。助動詞「ず」などの活用表が書けて、音読を多くすれば書き下し文の感覚を体得できると思われる。(音読もしない者には手の施しようがない。うーむ)
 置き字はなんとなくわかるようだ。
 再読文字がほとんどできない。手を変え品を変え勉強し続けるしかなさそうだ。
 
 最初のドタバタからか、終了時間を5分まちがえて早くやることが終わってしまう。でも実は特進クラスの105%で授業を巻いていたので、学習内容の進度には全く問題なしだったり。(苦笑
 
 
 ちょっと早い帰りの会・掃除。
 と言いつつ、明日の球技大会の説明があって他の日と同じくらいの終わり方をする。
 
 今までやってきた「さっと掃除」ではきれいにならなくなってきたので、週に1度の教室大掃除を設定する。
 同じく「生活記録」の提出がゆるくなってきたので、その未提出な生徒たちで教室掃除を編成する。
 ぶぅぶぅ言う生徒たちの反応が内心ではかわいらしく思うのだが、いちおううるさく「掃除しろ」「掃除しろ」と急き立ててやらせる。
 ひょっとしたら甘い顔なんかせずに厳しく叱りつけながらやった方が、掃除する時間も短くなって早く解放されるのではないか、却って生徒のためになるのではないか、と思った。
 「コワイ」「威圧感たっぷり」と生徒から言われる同僚の顔を思い浮かべて、また楽しくなる。
 そっか。「いやだいやだ」とだらだらやるよりは、さっとやった方がいいよな。
 いつか教員のお食事会でもあったら聞いてみようかなぁ。
 
 
 放課後。
 職員室へ戻ったあたりから頭痛。ややひどい。
 学級日誌、出席簿の確認、定期試験のために諸資料のコピーを取ってまとめたあたりで限界。
 悪いな、と思いつつも生徒会の子たちの会議に出ずに撤退。
 
 夕食の用意もせず、少しパンをかじって夕方から早々と寝てしまう。

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