入学試験の時には特に、教室をきれいにしておきたい。
 可能な限りきれいにして、受験生を迎えたい。
 今までずっと、受験のあるたびに思い続けてきた。
 この学校の中等部担当になって、準備を含めて3年ほど前から、思いはずっと変わらない。
 
「それがどうした」と言われると、実のところ返事ができない。
 けれども。
 受験をしようと決めたこと。
 学校と塾と、ぎりぎりのところで時間を作り出して勉強をしてきたこと。
 時に親子で揉めたりもしながら、たどってきた日々があること。
 そんな日々があったのだろうと思うと、受験生ひとりひとり、保護者の方ひとりひとりに畏敬に近い気持ちを抱かずにはいられない。

 しかし言うまでもなく、合格したいという気持ちの強さではなく、正確な答えをいくつ書いたかで合否の線は引かれる。
 その結果は、すべて受験する者自身が受け取るもの。
 過去の成績が記された調査書も。
 事前の準備も。
 当日の緊張も。
 突然の体調不良でさえも。
 すべて、我が身ひとつで背負わねばならぬ。
 誰にも肩代わりはできぬ。

 その非情さゆえに。
 もしかしたらごみごみとした物のないきれいな教室で、集中して実力を発揮できる可能性があるならば、そうしてあげたいと思う。
 ていねいに案内をすることで、少しでも落ち着くことができて安心して実力が発揮できる可能性があるならば、そうしてあげたいと思う。

 もちろん、入学したからといって、そこが最善の環境だとは限らないかもしれない。
 つまるところ、受験して合否の結果を受け取るのも自身であり、充実した学校生活を送るかどうかも自身である。

 それらをすべて承知で。
 だからこそ、できる限りのことをしていきたい。

 家族に、友人に、受験を控えている人がいるなら。
 できれば全力が発揮できるよう、直接的にも間接的にも、「できることは何か」と考えて配慮していってほしい。自分は勉強の邪魔にならないよう早く寝る、暇な時はテレビを見るのでなくて静かに読書をする。そんなことだって良いと思う。考えれば、何かできることはあるはずだ。

 そして、できるだけ多くの人が、良い形で転機を迎えてほしいと切実に思う。

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