ISBN:4043570015 三枝克之 角川書店 2001/02 ¥740
 
 万葉集はクラシック(古典)ではなくてポップスだったんだ、という新鮮な気持ちになることができる文庫三部作。
 「せつなくて」
 「愛しくて」
 「つのる想い」
 相聞歌から60首×3冊で取り上げられている、恋の歌と若手女性写真家の作品とのコラボレーション。
 
 2001年刊のくせに今なお新鮮なのがポイント。
 もっと言えば「奈良時代の人たちの気持ちも、今に通じるものがあるんだなぁ」と感じさせることができる本だというのがさらにポイント。
 だから、古文の本でおすすめは、というと真っ先にコレになるんだけどね。
 
 
「学校で勉強することは、実は大切なことかもしれない」
 そういう思いを持つことができたら、どんなにすごいことか。
 その思いを持つことができないだけに、将来の可能性を大きく断ち切ってしまう中高生がいかに多いか。

 数学や英語や社会や理科や、他の科目はわからない。
 けれど。
 国語がいかに大切かについては、自分でいつでも語ることができるようにしたい、と思っている。
 (ひとことで言えば「自分を豊かにする」ということにつきると思うが)
 
 なんだけどさ。
 2年前に中等部へ持ってきた時に、「教室にエロ本を持ってきた教員」ということになってしまったのだ。
 つくづくサイテーだ、文学とエセ芸術の区別もつかぬバカどもだ、クソもミソもいっしょにする暴論だ、と相当憤慨したものだ。
 もっとも、「思いたいように思う」「評価したいように評価する」傲慢さを知るにつけて、以降は「仕方ないか」と思うようにはなったが。
 
 どちらにしても思い出深い本である。
 またこの本を読んで、「古典をいかにして現代的課題・普遍的テーマをもつ教材であると理解させるか」に考えを巡らすことになる。
 わたしがやっている仕事に誇りを持つことのできる時間である。

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