Endless Waltz

　先週から休息の時間をほとんど無くして仕事をやってしまっている。
　
　もともとデスクワークを開始するのは、生徒たちを下校させる5:30以降になるのだが、ここのところ半端なく為すべき仕事が多い。
　
　前期期末試験の作成・実施・採点。
　前期成績の準備、成績評価の観点の設定と確認。
　各生徒の進路の確認。進学準備。
　……ここまででも相当気を使うのだが、まあそれは仕方がない。
　
　成績が振るわなかった者への配慮、対応の検討・実施。
　……「次は良い点を取ろう」を掛け声だけにしないためには何が必要か、いずれにせよ勉強するにしても、補習なり課題なり最適な方法を模索せねばならぬ。
　
　担当教科の夏休み課題の確認。
　担任クラスの夏休み課題の確認。
　……部外者が知ったら相当な笑い者になることは確実だが、事実なのだから仕方がない。夏休みが終わって半月になろうというのに、夏休み課題が出てこない。果ては手を付けていないという生徒も存在するのが、かなり困る。こちらから一人一人に声を掛けて状況を知り、提出完了まで確認するというのはけっこうな手間がかかる。
　
　漢字検定の申し込み。
　……中等部全体で取り組んでいて、そのまとめ役がせきね(仮名)なのであるが、どうしても検定料がきっちり揃わない。扱う物が金銭であるゆえに、何度も事務室と教室や教員室を行き来せねばならない。
　
　せめて宿題とお金ぐらいはきっちりいかないものかなぁ、と思う。
　数ある中高一貫校の中には、中等部から高等部への進学に制限を設けて成績の下位者を追放する所もあるようだが、個人的にはそれはどうかと思う。
　教員の教え込む技量も、生徒の成績には反映されていると思うからだ。
　それよりも。
　提出物がきちんと出ているかを、高等部への進学の条件にした方が良いのではないかと思う。
　
　「どんな生徒であっても学力を向上させてみせる」
　完遂できるかは別としても、これは教員の持つべきプロ意識ではないかと考える。そうして教室の現実に挑むようで在りたいとわたしは願う。(それゆえに苦しいことも多々あるが)
　
　しかしながら。
　教員の熱心な指示を受け入れようとしない、そういう生徒がもし居たとするならば、その者の学習環境は私立の中高一貫校である必要はないのではないか、とも考えるのである。
　
　私立とは、創立者に源流を求める指導を伝統や校風という名で校内に満たしていくものであると思う。
　仏教系にしろキリスト教系にしろ、宗教教育を取り入れている私立学校で「その宗教はイヤです。従えません」なんて言う者は明らかにおかしい。学校の選択を、根本的に誤っていると言って良い。
　
　なれば。
　「この学校の方針はイヤです。従えません」という意思がどれだけ奇妙であるか。
　北の将軍支配国のように「盲従しろ」とは決して言わないが、「この学校にいるのならそれなりにした方が良いんじゃないの？」とは思う。
　もちろん、これは生徒に限らず、自分も含めた教職員も心すべきではあろう。もし校風に賛同できなくなったならば、その時はせきねもまたこの勤務地を辞するべき時である。
　
　
　ともかくも。
　「躾が悪い」とか「学校が悪い」とか「自分のやりようが悪いのかも」とか、そんなことを考えているヒマもない。
　とにかく動き回って、ひとつひとつ片づけていくしかない。
　
　20時でも21時でも22時でも、気分転換したくなるぎりぎりまで教員室に居座って仕事をし、家に帰って風呂と買った夕食を食べることで気分を変え、25時26時にパソコンに向かって教材用プリントを作ったり授業の準備をしたりしているうちに意識を失って、しばらくして不自然な格好で寝ている痛みで目を覚まし、そして布団にもぐる。
　
　
　そして、もうすぐ文化祭。
　今年ばっかりは、生徒と同じくらい文化祭に浸るのは無理そうな気がする。何人か居るのんびり屋さんに、やるべきことをやってもらうために走り回るのが精一杯っぽい。
　
　とてもとても、残念なのだけれど。
　
　でも。
　
　いつの間にか教室に集められている段ボール箱を見つけると嬉しくなってしまう。
　生徒たちは生徒たちで、考えて動いてくれている。
　「自分たちで良くしていこう」
　そういう気持ちをかいま見るようで、頼もしく、また有り難く感じる。
　そんな細かいことに、ウチのクラスって良いな、もっと良くなってほしいな、みんなにこにこして卒業してほしいな、と感じてしまうのである。
　
　……親バカみたいに言わんといてね(笑