練習中止、涙のナイン 明徳義塾 甲子園辞退

新チームが主軸、高知も戸惑い
 高知県代表の甲子園常連校・明徳義塾高校(須崎市)で四日、野球部員の喫煙や部内暴力が判明し、夏の甲子園大会出場を辞退したことで、六日の開幕を目前に控えた大会関係者に衝撃が走った。組み合わせ抽選後の辞退届け出は極めて異例。明徳ナインや地元関係者はショックを隠し切れず、宿舎前もひっそりと静まり返ったまま。代わって出場が有力な高知高校(高知市)でも、すでに三年生が引退して新チームが主軸になっており、突然の大舞台に戸惑いの声も上がっている。
 明徳義塾野球部の宿舎「旅館志ぐれ」(兵庫県西宮市)には、朝から報道陣が詰め掛けたが、選手や監督らが姿を見せることはなかった。ナインは夕食後、高知へ帰る予定という。
 この日は午前九時から宿舎の近くのグラウンドで練習予定だった。しかし、朝食後に食堂で行われたミーティングで、馬淵史郎監督らが出場辞退を伝えると、選手は立ち上がることができず、涙を流したという。
 旅館の従業員は「皆さん、朝から一歩も旅館から出ていない。もらい泣きする従業員もいた」。
 地元にも衝撃が走った。同校で理科を担当する門田孝弘教諭(33)は「なんとも言えない。学校から公式の発表があると思う」。近くに住む中平佐津喜さん(78)は「寄付もしたところ。甲子園に行くのは簡単なことじゃないのに」。
 また、兵庫県尼崎市に住む選手の父親(69)は「中学から明徳。ようやくレギュラーとして甲子園出場をつかみ、大喜びしていた。どう声をかけていいか分からない」と落胆するばかりだった。
 一方、高知県大会の決勝で明徳義塾に敗れ、「繰り上げ出場」が有力な高知高校。すでに三年生は引退して退寮し、新チームで始動したばかりだけに、関係者からは喜びと戸惑いの声が上がった。
 高知ナインはこの日、愛媛県松山市に遠征し、松山東高と練習試合を行っていた。その途中、「甲子園出場」の情報が届き、島田達二監督は確認のため、選手たちには伝えないまま車で母校に向かった。
 代わりに指揮をとったコーチ(24)は「まさに寝耳に水」と驚きの表情を隠さないが、「本当は甲子園は(県大会で)勝っていくところ」と複雑な心境をのぞかせた。
 一年生投手の父で、応援に来ていた会社員(43)は「明徳の選手たちがかわいそうで、手放しには喜べない。すでに新チームで練習していたので、甲子園で本来の力が出せるかどうか心配だが、出る以上は頑張ってほしい」と話していた。
 また、明徳義塾と対戦が決まっていた西東京代表、日大三高の中山怜大主将は「とても残念。どこが相手になってもいつも通りの野球ができるように頑張ります」とコメントした。
(産経新聞) - 8月4日15時4分更新


明徳義塾が「甲子園」辞退 部員不祥事

夏の高校野球 高知、代替出場へ
 六日に甲子園球場で開幕する第八十七回全国高校野球選手権大会に、高知県代表として出場することが決まっていた私立明徳義塾高校(高知県須崎市、吉田圭一校長)が、野球部員による喫煙行為や暴力行為があったとして、四日午前、日本高校野球連盟に出場辞退を届け出た。代表決定後の出場辞退は、夏の選手権大会では初めて。
 同高野連では、高知大会の準優勝校の高知高に出場を依頼。同校から「万難を排して出場したい」との返答を得ているという。同日午後に正式決定する。
 同高野連によると、今年四月から七月にかけて、二年生部員と一年生部員の計十一人が、野球部の寮内で喫煙。また、同五月から七月初めにかけて、三年生部員と二年生部員計六人が、一年生部員を正座させた上、腕や胸をたたくなどの暴力をふるった。喫煙行為については、野球部主将らが寮内で、たばこの吸い殻を発見して判明。暴力行為については七月中旬に、被害にあった一年生部員の保護者からの連絡で判明したが、不祥事を知った宮岡清治部長と馬淵史郎監督の判断で、部内で処理したという。
 一連の不祥事は、同高野連に送られてきた投書で三日に発覚。高知県高野連を通じて、同校野球部の関係者から事情を聴いていた。
 明徳義塾は春夏通じて計二十三度、甲子園に出場。平成十四年夏には全国優勝している。この夏は戦後最多の八年連続出場を決めていた。
 高知高の出場が決まれば、二十四年ぶり十度目の出場。高知高は三日の組み合わせ抽選で決まった明徳義塾高の位置に入り、大会第五日の第三試合(二回戦)で日大三高(西東京)と対戦する予定。
 ≪たいへん残念な思い≫
 脇村春夫・日本高野連会長の話 「注目されている高校だけに、たいへん残念な思い。こういう事態で出られなくなった選手は気の毒だ。ただ、学校側として辞退は当然ではないか。明徳だから特別なわけではない。不祥事があった場合、通常のルールにのっとった処置だ」
 田名部和裕・日本高野連参事の話 「地方大会前に問題をきちんと報告していれば、当該選手を除いて大会出場も可能だった。しかし、こういうことになった以上、今回の措置は仕方ない。非常に残念なことだ」
 ≪不祥事で甲子園を逃したケース 近年では敦賀気比高≫
 高校野球で甲子園出場が決まってから不祥事で出場辞退、出場取り消しとなったケースとして、近年では平成十二年春の選抜大会で、左腕の内海(現巨人)を擁し注目されながら、野球部員が無免許運転で事故を起こしたことが発覚して辞退した敦賀気比高(福井)の例がある。
 同四年春は神戸弘陵高(兵庫)、昭和六十二年春には東海大浦安(千葉)が出場できなくなった。
 夏の甲子園大会で出場決定後に不祥事で出られなくなったのは、主催者側によると明徳義塾高が初めてという。
 ■明徳義塾高野球部 昭和51年、学校創立と同時に創部。甲子園には春12度、夏11度出場の強豪。夏は平成14年に初優勝し、昨年まで7年連続出場。約130人の部員の大半は高知県外からの野球留学生。プロ野球、阪神の町田公二郎、中日の森岡良介、大相撲の横綱朝青龍、女子ゴルフの横峯さくららは同校出身。
 ■高知高校野球部 昭和元年、創立。選抜では42年に準優勝、50年に優勝。夏の大会も39年に全国制覇した古豪。野球部員数は89人。OBにはプロ野球の元ロッテ監督の有藤通世氏や元巨人投手の西山一宇氏のほか、大相撲の土佐ノ海関らがいる。
(産経新聞) - 8月4日15時4分更新

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