せきね(仮名)は、けっこうな貧乏の中で育った。
 不良になろうとするにも、夜のゲームセンターで遊ぶコヅカイも無かったくらいであるから。
 
 だから、学んだ教育施設はすべて学費の安いところであった。
 市立の小学、市立の中学、県立の高校、国立の文学部。
 
 それに対して、今仕事をしながら様子を観察している、中高一貫の子供たちは金持ちだな、としみじみ思う。
 学費。
 家から遠くに通うための交通費。
 給食はないから、毎日の昼飯代。
 その他、行事の際に何かと必要になるものの費用。
 制服からして、黒の詰め襟や紺のセーラー服でなく、なんだか言うデザインによる明るい色合いの制服である。
 
 でも当然というか、彼ら彼女らにはそんなことは判らない。
 小学生並みにそこらじゅうを転げ回って服を傷めるなど当たり前、学費をドブに捨てるかのようなことをしていても平然たる者もいる。
 
 失ってから気付く。
 
 これがヒトに背負わされた業ならば。
 知るということ、教育というモノは、それを乗り越えるために在るものだと言って良いのではないか。
 
 悲しむことの無いように。
 苦しむことの減るように。
 
 心ある教員たちは、何度も挫けかけながら教壇に立つ。

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