東京に出かけて、本を買いに行った。
帰宅して、学級通信ネタになると思って書いた。今度の火曜に本人の了解を受けて配布しようかと思う。
=============================
(タイトル未定)
雨が降る土曜、東京に出たおりに書店へ寄った。
捜し物があったのである。
物語文の解説の仕方について。
特別支援教育について。
懇親会で話そうかな、と思ったことが本当に合っているかの客観的資料。
そしてなによりも、小論文の書き方について。
せきねが以前に担任をしていた高等部の生徒たちが、いよいよ大学入試を迎えるのだ。
小論文とは、あるテーマ・字数制限のなかで、いかに適切な意見を記述するかが勝負。知識、論理性、客観性、具体性、それまで学んできたもの全てが問われるとも言える。
そもそも、個人個人で文章を書くスタンスは微妙に違う。「段落の始まりは1マス空ける」などのルールならばともかく、やはり個別の指導や添削を受けるのが一番良い。中等部から我が校に在籍している諸君に対しては、「生活記録」を4行以上書くことによってそのあたりが徐々に鍛えられるようにと考えているわけであるが、高等部から在籍すると、公立の高校入試問題の他、「文章を書く」という機会はかなり少ない。
先週水曜の昼休みに会った生徒から、「看護系学部の小論文をみてほしい」という話を受けていた。もちろん、全面的に協力するつもりである。やるからには勝ちたい。
しかしながら看護や薬学や医学などの医療の世界は、最近特に人気がある。
TVドラマの題材になったり、ニュースになったりしていて非常に注目されている分野である。
競争率も高く、大学側でも最新の事件や専門用語を学んでいる者を求めているだろうと予想された。
だから、せきねは次のように言った。
「看護や医療の世界で使われている専門用語がある。その言葉の意味を取り違えないよう、また小論文で自在に使いこなせるよう、用語辞典のような問題集を探して読んでおくように。過去問をやったら、問題と小論文と両方を持って中等部職員室に来ること。」
当然、指導する側もそれらの用語を知らなければ、書かれた小論文の表現が適切かは判らない。高等部に"看護"などという科目はないから、指導をすると言ったせきね自身が学ばなければ、勝ちに持っていくことができない。
だから、最新の大学入試情報を持ち、小論文の指導を専門としている予備校講師の作った問題集から情報を得て、個人の性格を踏まえた個別指導の方針を立てる必要があった。
そうして御茶ノ水の本屋(ビルひとつまるまる本屋という大規模店である)へ行き、なんとそこで当の本人、ミユキさんと出会ってしまったのであった。
せきねは参考書を買うという目的だけが頭にいっぱいで、「先生!」と声を掛けられるまでうかつにも気付かなかったのであった。
すぐ向かいの棚には、お父上もいらっしゃった。(実は、どこかの教員だろうか、と思っていた)
休みだったので娘と車でやって来ました、ということであった。
高等部の保護者会では機会がなく、今回初めてお会いしたのだが、実直で、あたたかな雰囲気をお持ちのお父上でいらっしゃった。
すごいなあ、と思った。
今の御時世、勤め人は毎日毎日がとてもしんどい。責任のある者ほど、早くに仕事を始めて遅くに仕事を終わらさなければ、あっという間に組織が潰れてしまいかねない。
昔の「重役出勤」は遅い時刻に悠然と職場にやって来ることを意味したが、今は一番速く職場にやって来ることを意味するのではないだろうか。
それだけ働いて、やっと休日になった時。
娘のことを思い、一緒に参考書コーナーに居る。
そしてそれを、ごく自然なことだと表現する。
せきねは思わず感じ入ってお父上といろいろ話しながら、その場にある参考書を見てはミユキさんに適切そうなものを探した。
参考書にも、選び方がある。
☆人気があり、長く有名で居続ける講師の参考書は、やはり買って損がない。
(激しい競争社会である予備校業界で生き続ける講師というのは、並の実力ではない。)
☆"ぽっと出"の人気講師の参考書は、よく確認したほうがよい場合がある。
(パフォーマンスだけが話題の"ただの人気取り講師"が書いた本は、じきに消える。)
☆なるべく新しい参考書のほうが良い。
(毎年ころころ変わる受験制度・傾向の、最新の情報を踏まえていることが多い。)
☆出版した年が古く、版を重ねていない問題集はハズレ。
(売れてないということは、受験生のニーズに合っていないのである。)
☆出版した年が古くても、版を重ねた上に改訂がされていたらかなり有望。
(売れているし最新の情報もあるし、勉強する受験生の感覚に合うのだろうという推測が立つ。)
☆ブランドで選ぶのではなく、自分でやれそうな参考書を選ぶ。
(有名予備校の出版するシリーズでも、自分でやれるものでなければ飾りにしかならない。)
☆少ない冊数を買う。できれば1冊。
(参考書は、取り組まなければ意味がない。たくさん買うと、それだけで満足してしまいやすい。1冊全部正解になるまでやったほうが、断然良い。)
ミユキさんは何冊かを見比べて、カラフルでイラスト解説つきのものを1冊選び、せきねは同じものを1冊とそれ以外に2冊買った。(上のアドバイスと矛盾するようにみえるが、同じものを買ったのは共通認識を得るため、そして他のひとつは小論文全体の書き方を思い出すため、もうひとつはさらに上のレベルの小論文を目指すようになった時にアドバイスできるようにしておくため、と考えた。)
いよいよ目標が明確になり、「今まで、全っ然、勉強できてないんです」と謙虚に言いながらも、ミユキさんの表情は決意に満ちているように感じられた。
大学受験である。受験生の全てが真剣に将来を考え、実力をすべてぶつけてくる。
前途は決して楽ではない。努力に努力を重ねなければならぬ。
けれど、あたたかでまわりの友人が笑顔になっていくようなミユキさんが、看護系の進路を選び、「北風と太陽」の太陽のように人々のために活躍するのは、なんとも似つかわしく、嬉しいことに感じられた。自身の限界に挑み、誇り高く大勝利を勝ち取ってほしい。
そのために全力を尽くしたい、と心から思った。
せきね自身は昨年度、大学入試に向けた小論文指導をしていないが、ありがたいことに日々「生活記録」をチェックし、返事を書く作業を続けてきた。
ひょっとしたら、以前よりも文章に関する力は付いているかもしれない。
これは、良い文章を書いてきてくれるみんなに感謝しないといけないな、と思った。
帰宅して、学級通信ネタになると思って書いた。今度の火曜に本人の了解を受けて配布しようかと思う。
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(タイトル未定)
雨が降る土曜、東京に出たおりに書店へ寄った。
捜し物があったのである。
物語文の解説の仕方について。
特別支援教育について。
懇親会で話そうかな、と思ったことが本当に合っているかの客観的資料。
そしてなによりも、小論文の書き方について。
せきねが以前に担任をしていた高等部の生徒たちが、いよいよ大学入試を迎えるのだ。
小論文とは、あるテーマ・字数制限のなかで、いかに適切な意見を記述するかが勝負。知識、論理性、客観性、具体性、それまで学んできたもの全てが問われるとも言える。
そもそも、個人個人で文章を書くスタンスは微妙に違う。「段落の始まりは1マス空ける」などのルールならばともかく、やはり個別の指導や添削を受けるのが一番良い。中等部から我が校に在籍している諸君に対しては、「生活記録」を4行以上書くことによってそのあたりが徐々に鍛えられるようにと考えているわけであるが、高等部から在籍すると、公立の高校入試問題の他、「文章を書く」という機会はかなり少ない。
先週水曜の昼休みに会った生徒から、「看護系学部の小論文をみてほしい」という話を受けていた。もちろん、全面的に協力するつもりである。やるからには勝ちたい。
しかしながら看護や薬学や医学などの医療の世界は、最近特に人気がある。
TVドラマの題材になったり、ニュースになったりしていて非常に注目されている分野である。
競争率も高く、大学側でも最新の事件や専門用語を学んでいる者を求めているだろうと予想された。
だから、せきねは次のように言った。
「看護や医療の世界で使われている専門用語がある。その言葉の意味を取り違えないよう、また小論文で自在に使いこなせるよう、用語辞典のような問題集を探して読んでおくように。過去問をやったら、問題と小論文と両方を持って中等部職員室に来ること。」
当然、指導する側もそれらの用語を知らなければ、書かれた小論文の表現が適切かは判らない。高等部に"看護"などという科目はないから、指導をすると言ったせきね自身が学ばなければ、勝ちに持っていくことができない。
だから、最新の大学入試情報を持ち、小論文の指導を専門としている予備校講師の作った問題集から情報を得て、個人の性格を踏まえた個別指導の方針を立てる必要があった。
そうして御茶ノ水の本屋(ビルひとつまるまる本屋という大規模店である)へ行き、なんとそこで当の本人、ミユキさんと出会ってしまったのであった。
せきねは参考書を買うという目的だけが頭にいっぱいで、「先生!」と声を掛けられるまでうかつにも気付かなかったのであった。
すぐ向かいの棚には、お父上もいらっしゃった。(実は、どこかの教員だろうか、と思っていた)
休みだったので娘と車でやって来ました、ということであった。
高等部の保護者会では機会がなく、今回初めてお会いしたのだが、実直で、あたたかな雰囲気をお持ちのお父上でいらっしゃった。
すごいなあ、と思った。
今の御時世、勤め人は毎日毎日がとてもしんどい。責任のある者ほど、早くに仕事を始めて遅くに仕事を終わらさなければ、あっという間に組織が潰れてしまいかねない。
昔の「重役出勤」は遅い時刻に悠然と職場にやって来ることを意味したが、今は一番速く職場にやって来ることを意味するのではないだろうか。
それだけ働いて、やっと休日になった時。
娘のことを思い、一緒に参考書コーナーに居る。
そしてそれを、ごく自然なことだと表現する。
せきねは思わず感じ入ってお父上といろいろ話しながら、その場にある参考書を見てはミユキさんに適切そうなものを探した。
参考書にも、選び方がある。
☆人気があり、長く有名で居続ける講師の参考書は、やはり買って損がない。
(激しい競争社会である予備校業界で生き続ける講師というのは、並の実力ではない。)
☆"ぽっと出"の人気講師の参考書は、よく確認したほうがよい場合がある。
(パフォーマンスだけが話題の"ただの人気取り講師"が書いた本は、じきに消える。)
☆なるべく新しい参考書のほうが良い。
(毎年ころころ変わる受験制度・傾向の、最新の情報を踏まえていることが多い。)
☆出版した年が古く、版を重ねていない問題集はハズレ。
(売れてないということは、受験生のニーズに合っていないのである。)
☆出版した年が古くても、版を重ねた上に改訂がされていたらかなり有望。
(売れているし最新の情報もあるし、勉強する受験生の感覚に合うのだろうという推測が立つ。)
☆ブランドで選ぶのではなく、自分でやれそうな参考書を選ぶ。
(有名予備校の出版するシリーズでも、自分でやれるものでなければ飾りにしかならない。)
☆少ない冊数を買う。できれば1冊。
(参考書は、取り組まなければ意味がない。たくさん買うと、それだけで満足してしまいやすい。1冊全部正解になるまでやったほうが、断然良い。)
ミユキさんは何冊かを見比べて、カラフルでイラスト解説つきのものを1冊選び、せきねは同じものを1冊とそれ以外に2冊買った。(上のアドバイスと矛盾するようにみえるが、同じものを買ったのは共通認識を得るため、そして他のひとつは小論文全体の書き方を思い出すため、もうひとつはさらに上のレベルの小論文を目指すようになった時にアドバイスできるようにしておくため、と考えた。)
いよいよ目標が明確になり、「今まで、全っ然、勉強できてないんです」と謙虚に言いながらも、ミユキさんの表情は決意に満ちているように感じられた。
大学受験である。受験生の全てが真剣に将来を考え、実力をすべてぶつけてくる。
前途は決して楽ではない。努力に努力を重ねなければならぬ。
けれど、あたたかでまわりの友人が笑顔になっていくようなミユキさんが、看護系の進路を選び、「北風と太陽」の太陽のように人々のために活躍するのは、なんとも似つかわしく、嬉しいことに感じられた。自身の限界に挑み、誇り高く大勝利を勝ち取ってほしい。
そのために全力を尽くしたい、と心から思った。
せきね自身は昨年度、大学入試に向けた小論文指導をしていないが、ありがたいことに日々「生活記録」をチェックし、返事を書く作業を続けてきた。
ひょっとしたら、以前よりも文章に関する力は付いているかもしれない。
これは、良い文章を書いてきてくれるみんなに感謝しないといけないな、と思った。
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