好きな本・好きな場面を見つけられる読書ができるといいですね

 せきね組のロッカーの上に、せきねの趣味で何冊かの本を置いてある。みんなが読むとそれなりにトクになるかなあ、読書が好きになれるかなあと思っている本だけれど、その中に「十二国記」シリーズがある。
 (ファンタジー小説として刊行され、現在ではNHK教育、BSなどでアニメが再放送されている)

 高校2年生になったばかりの中島陽子は、クラスメートや親や教師たちの目を気にしながら、誰からもほめられるように生きてきた。
 ある日突然、ケイキという金髪の男が現れて、中国と似通っているがどこか別の異世界に連れ去られてしまう。
 そこで陽子は誰ひとりとして自分を知る者のいない中で、あてもなくさまようこととなる。「悪い海客(かいきゃく=違う世界からやって来た者)」だと理由もわからずに役人から追われる。善人に助けられたかと思えば、実は金のためにだまされる。毎晩、さまざまな姿形をした妖魔に襲撃される。蒼猿(あおざる)という化け物が、自分の心の中に押し込めている不安をことさらにあおりたててくる。行方不明になったケイキが、陽子に剣を持たせたが、その剣が陽子の居なくなった後の世界での人々のあきらめや誤解している姿をまぼろしとして見せる。

 流されてきた世界のすべてが、陽子にとって敵であった。「この世界すべてがわたしに死ねと言うならば、わたし一人だけでも生きてみせる」そう思いながらも、身も心もすさみ果てて冷たい雨の降る中に倒れたとき、楽俊(らくしゅん)というネズミの姿をした半獣に助けられる。

 楽俊は、初めて陽子を助けてくれた者であった。しかし、「その裏には何か目的があるのではないか」「信じてしまってまた裏切られて危険にさらされるのではないか」と思った陽子は、妖魔に襲われた混乱の中で、倒れた楽俊を置き去りにして逃げてしまう。

 悩み、落ち込みながら逃げる陽子を、蒼猿が追いかける。
「ネズミにとどめを刺さなくていいのか。あのネズミは、おまえのことを役人にしゃべるかもしれない。そうして捕まったら、おまえは殺されるんだ」
「ただ置き去りにしただけで、こんなに苦しいのに。そんなことが出来るはずがない」
「あいつはお前を信用させて! お前を利用して! そしてお前を裏切るんだ!」
 蒼猿の叫びに、陽子は言う。
「裏切ったら、裏切ったやつが卑怯になるだけだ!」
「わたしは、誰も優しくしてくれなくても、どんなに裏切られても、誰も信じない卑怯者にはならない!」
「世界も他人も関係ない! わたしは優しくしたいからするんだ! 信じたいから信じるんだ!」
 蒼猿を退け、陽子は自分の心に決着をつけて旅を続けた。
 そして、物語は続く。

「自分を囲む世界と、自分のありようとは無関係だ」
 この場面を読んでから、こんな気高さをせきねは身につけたいなあ、と思った。

 別に「十二国記」を人生の教訓として読もう、というわけではない。
 ただ単に、せきねはこのシリーズを読んでいておもしろいし、アニメも全部見ている。 (ちなみに、イナダ先生も「十二国記」ファンだと去年に知って、おおいに意気投合している)

 いよいよ冬休み。
 自分の指針が見つかるような、良い出会い、良い日々、あるといいですね。

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