今日は何の日?

 1865年12月18日(日本では明治時代になる3年前)、アメリカでひとつの制度が廃止された。
 奴隷制度である。

 大農場を経営するために、アフリカの人たちを強制的に連れてきて働かせるということが、アメリカ南部では広く行われていた。一番最初の黒人奴隷がアメリカに渡ったのは1619年(江戸時代の初期ころ)のこと。それ以降、黒人奴隷貿易はずっと続き、アフリカから遠く異国に運び込まれた黒人の数は、総計1400万人近くにおよぶ。しかし奴隷船の環境は悲惨なもので、「1人の黒人を新大陸にもたらすまでには5人の黒人が途中で死んだ。」と言われている。(総計7000万人の黒人が故郷から連れ去られたことになる)

 1860年、以前から奴隷制に反対していたリンカーンが選挙に勝つと、アメリカ南部の各地方では危機感を強めて、ついに国内を二分する争いが起こった。有名な「南北戦争」である。(1861〜1865)
 奴隷制賛成の南部と、反対の北部。当初は南部が優勢であった。その中でリンカーンは、ゲティスバーグという地で演説をした。

 87年前、私たちの祖先はこの大陸に新たなる国家を打ち立てました。
 アメリカ合衆国は、自由、そして人はみな平等であることを原点とした国家です。
 いま私たちは、たいへんな内戦の中にあります。自由と平等の国家が、あるいはそのような主張をする国家すべてが、長らえることができるか試されているのです。
 私たちはその戦争の激戦地に集っています。
 私たちがここで話すことは世界の注目を集めることもなく,やがて忘れ去られるこ とでしょう。しかし、私たちの前には大いなる責務が残されています。
 名誉ある戦死者たちが、最後まで完全に身を捧げた大義のために、私たちも一層の 奮闘をもってあたること。
 戦死者たちの死を無駄にしないと高らかに決意すること。
 神の導きのもとに、この国に自由の新たなる誕生をもたらすこと。
 そして、人民の、人民による、人民のための政府を、この地上から絶やさないこと。 これこそが、私たちが身を捧げるべき大いなる責務なのです。
クレイグ・L・シモンズ 著 友清理士 訳 『南北戦争 49の作戦図で読む詳細戦記』(学研M文庫)より

 このリンカーンの演説については、「"結果として"奴隷解放になっただけである」という説や、「北部を有利にするための大義名分に過ぎなかった」という説もある。
 また、法律上で奴隷制度はなくなったが、以降も永く、人種による差別は続いている。

 しかし、この後の歴史に続く人種差別をなくすための運動の、第一歩であることは間違いない。
 肌の色がちがう。顔かたちがちがう。話し方がちがう。
 そんなことは当たり前で、かけがえのない個性ではないか、と声を上げていく、最初の一歩だったのである。
 人間はどこまでも人間同士であり、人種に関わりなく互いに美点を見つけていくことのできる、自由と平等の記念日が、12月18日なのだ。

 わたしたちは。
 顔かたちを話題にして、人を差別してはいないだろうか。
 話し方が今まで聞いたことがないからといって、人を軽んじてはいないだろうか。

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