中高一貫制の文化祭。

 今日はなんとか無事に終わる。

 最終日なので校内巡回係の合間を縫って出し物を見て回る。

 ウチの学校は模擬店が非常に少ない。
 校内喫茶店3つと露店いくつか。すべて高等部3年。
 それ以外は研究発表とか劇とかになる。
 それぞれ楽しそうにやっていた。さすがに学年が上がるほど行き届いたものになってはいるが。

 15時終了。
 中等部は16時に完全下校となり、ボク自身も早めに職員室から撤収。

 高等部担当の時のように、後夜祭のあとに「生徒が羽目を外さないように校外を見回る」という役割が廻ってこないのは、まあラクなことだとは思う。

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 えらく懐かしいものに再会した。

 帚、である。

 人が歩けば埃が吹き寄せられて汚く見える。それを集めようとして、何気なく近くの道具入れから出してきた帚。

 「高等部1年せきね組」
 小さく油性マジックで書いた。

 初担任。
 勉強する場所はきれいでないといけない。
 そう思って、毎日放課後に机を整列し、黒板をきれいにし、この帚でゴミを集めた。

 自分のクラスは順調だ、そう思っていた。
 けれど実際は、3分の2が寝る授業やひとりかふたりしか聞いていない授業の連続だった。
 「ウチのクラスはどうですか」
 こう尋ねても、誰も何も言ってこない。
 裸の王様のまま、文化祭まで過ごしてきた。

 そんなままで無事に1年の終わるわけがない。
 停学を出した。
 クラス平均点の差が、他と10点も15点もついた。
 山のような乱れた姿の子たちだった。

 自分のクラスの授業担当は、週に2時間。
 週に2時間だけでは、教室の状態を立て直す力がなかった。
 改善しようと立てた方針のことごとくは、効果がないままだった。
 なにせ、ダメな授業はまったく変わらないのだ。「授業中に他のことをしてはならない」という当たり前のことを確認した次の授業には、何をしていても注意を払わない教員がやって来るのだ。

 毎日、帚を持って「せめて勉強がしやすいように」教室の掃除をするしかなかった。

 それだけ、だった。

 その帚はあまり大事にはされなかったようで、けっこう先が曲がっていた。
 それでも、まだゴミが集められた。

 苦しめば、形が変わる事もあるだろう。
 考えて使えば、まだまだ役に立つこともあるだろう。

 今のクラスの備品として持ち帰ることにした。

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