敗北続きであるゆえの、勝ち負けへのこだわり。
2003年9月26日 学校・勉強 教員って明確な営業成績とか出ないからさ、忘れないようにしておかなきゃいけないことがある。
正しいならば、断固として勝たねばならぬ。
それはしみじみ思い知ったんだよね。
飲みの時に、ミシマ先生が言ったんだ。
「見直した」って。
8月にセンター古典を教えた子たちが、ボクがやったのを「わかり易かった」と言ってくれたらしい。
それをミシマ先生が聞いた、と。
ミシマ先生とは結構な"ダチ"だから、もう1年半くらい前から酒盛りをしつついろいろなことを話してきたわけだ。
教育の有りようについてだとか。
意欲に燃える教員の同志、として。
そういう人間関係にして、「見直した」というコメントなわけだ。
ということは、見直す前のボクって?
言葉だけが大風呂敷を広げて先行していたってことだよね。
別に、傷ついたなんていうんじゃなくて。
どうやら、ボクの意見には受け入れられにくいモノがあるらしい。
自分で真剣な提案であるほど、説得力が無い。
ダチのミシマ先生でさえそうなのだから、他の人たちにはなおさらだろう。
ここで「世界が間違ってる!」とか言ったらエセ文学者あたりになってしまうから、どうにかしなきゃいけないわけだ。
やさしいみち。
思ったことも言わず、ラクチンに仕事をする。
趣味に生き、給料泥棒をして一生を過ごす。
むずかしいみち。
断固として向上を目指した提案をし続ける。
冷や飯、上等。
年とったり家庭を持ったりしたら「やさしいみち」を目指すとして、今のところは「むずかしいみち」を行ってみようかな、と思ってしまうのである。
そうしたら、やっぱり勝たなきゃなあ。
試験で良い点を取らないと。
イベントで成功しないと。
言っていることに説得力が無い。
受け入れられない。
ふー。
===================
準備を終えて生徒を帰宅させたのが12時過ぎ。
他のクラスの子たちの様子を見て、少し遠めのホームセンターを物色しておくか、と学校を退出したのが16時の数分前。
パスタ屋で早めの夕食にしたのが19時あたり。
そして、19時20分。
職員室のタカハシ先生から、ボクのケイタイに連絡が入る。
「センセのクラスの飾りつけの場所が、マズイんですが」
「え?」
===================
情報が錯綜しているので整理してみる。
1)最初にクラス企画を聞かれた際に、「飾りつけをすごろく形式で」と伝える。
2)場所は「人が多すぎず、少なすぎず」ならば、飾りつけを楽しみつつ、すごろくを遊んでもらえるのではないか、と考えた。
3)そうしたら、中庭か、廊下の広い部分がよかろう。
4)とにかく、飾りつけなのに、最初にまわってきた中等部校舎2階の教室を使うのはもったいない。そこは、他のクラスの演劇か研究発表にまわすのがいいだろう。
5)そこで、「どこかの廊下を使いたいのですが。教室は4階で構いません。ウチのクラスは控え室があればいいので」と言う。
6)中庭には高等部の模擬店ができるので人通りが多すぎる。中等部校舎の3階あたりがいいだろう、というふうに考えて、そのように伝えた。
7)作業を進め、自分たちの飾りつけを終了。
8)時間が余ったので、せっかくだからということで去年使っていた飾りを少し直して、階段をにぎやかにしてみる。
そうしたら。
a)廊下で企画をやるとは、実行委員では聞いていない。
↑いちおう「飾りつけ」として申請してあって、「もし遊ぼうとするなら遊ぶこともできる」という程度であった
b)飾りつけ場所の廊下に面する3クラスが、いずれも演劇であり、廊下でうるさくなると支障が出る。
↑真向かいになる2クラスには「演劇中は静かにしてください」という旨の表示をしてもらうこと、ウチのクラスの子たちが「当番制で飾りつけ場所を見守る」ということを伝えておいてはいた
c)「演劇中は廊下では静かにするように」としても、3クラスのタイムテーブルを重ねると、ほとんど「騒いでも構わないという時間」がない。
↑真正面ではない、少し離れた教室でやる演劇については、たしかに失念していた
===================
「飾りつけの場所が、マズイんですが」
そうケイタイ越しに聞いても、話し合う生徒は居なければ、折衝する演劇クラスの教員も居ない。
文化祭の一般客入場は9時から。
8時10分に出席を取って。
子どもたちに実情を話して。
そして。
どう動く?
「とにかく、移動するなり、撤去するなり、明日までに考えます」
それだけを、やっとの思いで言うしかなかった。
===================
誰が悪いわけでもない、と思う。
文化祭実行委員は、すべての企画のとりまとめで極めて多忙だ。
演劇の各クラスは、必死になって取り組みを続け、いよいよ本番を迎えようとしている。
ボクだって、担任としての器量を自らに問いながら、より良いクラス企画にしようと動いてきた。
ましてウチの子たちは何の責任もない。
意地悪い者ならば、「ただの飾りつけ」と言うだろう。
なのに。
ただ眺めるだけの飾りつけではなく、「来た人が参加できる飾りつけ」という斬新な発想を出してきた。
小さなすれ違いが、たまたま重なり合っただけだと思いたい。
けれど。
このままでは、クラス企画が破綻してしまう。
準備が終了して。
実際にみんなですごろくで遊んで。
「おもしろいね」
「これなら楽しんでもらえるね」
そう喜び合ったことが、すべて、崩れてしまう。
===================
ふと、気付いた。
夕食を食べたレストランから、学校に向かう。
職員室に着いて20時。
「何しに来たん?」 ほとんどの担任たちがいる中で、ツチダ兄貴がボクに言う。
「企画直しに」
「え? 今から?」
「うん、あと13時間ある」
ウチの企画ができる場所は、4階廊下しかなかった。
まだ終わっていなかったらしい高等部の飾りつけの道具を移動し、すごろくのスペースを確保する。
3階から4階へ、すごろくのコマ部分にあたるパーツを剥がして移動。22時。
天井の輪飾りを移動し、点かない蛍光灯を違う場所のものと交換して24時。
そもそも4階には、校舎反対側一番端の書道部しか企画がない。自分たちの企画場所へ来てもらうためには、「こっちでもやっているよ」というアピールが要る。
紙テープとスズランテープを裂いて作ったミニぼんぼん、家から持ってきたポケモンカードゲーム(はるか昔に試しに買って遊んだことがあった)を使って、階段の飾りつけをする。26時。
ここで思わぬ誤算。
100円ショップで安いテープを買ったせいか、用途とは違う使い方をしたせいか、コマを剥がした床にテープの接着剤がべっとりとくっついてしまっている。
このままにはしておけない。
「シールはがし」を使って、廊下全面の接着剤を剥がそうと試みる。28時。
赤や黄色の布ガムテープを使ってコマを貼ってみる。カラフルでなかなか良い。
だいたい貼って、あとは生徒たちが来てからやっても間にあうだろうと判断。28時40分。
さすがに汗を流さないとマズイと思い、帰宅してシャワーを浴び、毛布を持って学校に戻る。
もし万が一に寝過ごしかけても生徒が起…
正しいならば、断固として勝たねばならぬ。
それはしみじみ思い知ったんだよね。
飲みの時に、ミシマ先生が言ったんだ。
「見直した」って。
8月にセンター古典を教えた子たちが、ボクがやったのを「わかり易かった」と言ってくれたらしい。
それをミシマ先生が聞いた、と。
ミシマ先生とは結構な"ダチ"だから、もう1年半くらい前から酒盛りをしつついろいろなことを話してきたわけだ。
教育の有りようについてだとか。
意欲に燃える教員の同志、として。
そういう人間関係にして、「見直した」というコメントなわけだ。
ということは、見直す前のボクって?
言葉だけが大風呂敷を広げて先行していたってことだよね。
別に、傷ついたなんていうんじゃなくて。
どうやら、ボクの意見には受け入れられにくいモノがあるらしい。
自分で真剣な提案であるほど、説得力が無い。
ダチのミシマ先生でさえそうなのだから、他の人たちにはなおさらだろう。
ここで「世界が間違ってる!」とか言ったらエセ文学者あたりになってしまうから、どうにかしなきゃいけないわけだ。
やさしいみち。
思ったことも言わず、ラクチンに仕事をする。
趣味に生き、給料泥棒をして一生を過ごす。
むずかしいみち。
断固として向上を目指した提案をし続ける。
冷や飯、上等。
年とったり家庭を持ったりしたら「やさしいみち」を目指すとして、今のところは「むずかしいみち」を行ってみようかな、と思ってしまうのである。
そうしたら、やっぱり勝たなきゃなあ。
試験で良い点を取らないと。
イベントで成功しないと。
言っていることに説得力が無い。
受け入れられない。
ふー。
===================
準備を終えて生徒を帰宅させたのが12時過ぎ。
他のクラスの子たちの様子を見て、少し遠めのホームセンターを物色しておくか、と学校を退出したのが16時の数分前。
パスタ屋で早めの夕食にしたのが19時あたり。
そして、19時20分。
職員室のタカハシ先生から、ボクのケイタイに連絡が入る。
「センセのクラスの飾りつけの場所が、マズイんですが」
「え?」
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情報が錯綜しているので整理してみる。
1)最初にクラス企画を聞かれた際に、「飾りつけをすごろく形式で」と伝える。
2)場所は「人が多すぎず、少なすぎず」ならば、飾りつけを楽しみつつ、すごろくを遊んでもらえるのではないか、と考えた。
3)そうしたら、中庭か、廊下の広い部分がよかろう。
4)とにかく、飾りつけなのに、最初にまわってきた中等部校舎2階の教室を使うのはもったいない。そこは、他のクラスの演劇か研究発表にまわすのがいいだろう。
5)そこで、「どこかの廊下を使いたいのですが。教室は4階で構いません。ウチのクラスは控え室があればいいので」と言う。
6)中庭には高等部の模擬店ができるので人通りが多すぎる。中等部校舎の3階あたりがいいだろう、というふうに考えて、そのように伝えた。
7)作業を進め、自分たちの飾りつけを終了。
8)時間が余ったので、せっかくだからということで去年使っていた飾りを少し直して、階段をにぎやかにしてみる。
そうしたら。
a)廊下で企画をやるとは、実行委員では聞いていない。
↑いちおう「飾りつけ」として申請してあって、「もし遊ぼうとするなら遊ぶこともできる」という程度であった
b)飾りつけ場所の廊下に面する3クラスが、いずれも演劇であり、廊下でうるさくなると支障が出る。
↑真向かいになる2クラスには「演劇中は静かにしてください」という旨の表示をしてもらうこと、ウチのクラスの子たちが「当番制で飾りつけ場所を見守る」ということを伝えておいてはいた
c)「演劇中は廊下では静かにするように」としても、3クラスのタイムテーブルを重ねると、ほとんど「騒いでも構わないという時間」がない。
↑真正面ではない、少し離れた教室でやる演劇については、たしかに失念していた
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「飾りつけの場所が、マズイんですが」
そうケイタイ越しに聞いても、話し合う生徒は居なければ、折衝する演劇クラスの教員も居ない。
文化祭の一般客入場は9時から。
8時10分に出席を取って。
子どもたちに実情を話して。
そして。
どう動く?
「とにかく、移動するなり、撤去するなり、明日までに考えます」
それだけを、やっとの思いで言うしかなかった。
===================
誰が悪いわけでもない、と思う。
文化祭実行委員は、すべての企画のとりまとめで極めて多忙だ。
演劇の各クラスは、必死になって取り組みを続け、いよいよ本番を迎えようとしている。
ボクだって、担任としての器量を自らに問いながら、より良いクラス企画にしようと動いてきた。
ましてウチの子たちは何の責任もない。
意地悪い者ならば、「ただの飾りつけ」と言うだろう。
なのに。
ただ眺めるだけの飾りつけではなく、「来た人が参加できる飾りつけ」という斬新な発想を出してきた。
小さなすれ違いが、たまたま重なり合っただけだと思いたい。
けれど。
このままでは、クラス企画が破綻してしまう。
準備が終了して。
実際にみんなですごろくで遊んで。
「おもしろいね」
「これなら楽しんでもらえるね」
そう喜び合ったことが、すべて、崩れてしまう。
===================
ふと、気付いた。
夕食を食べたレストランから、学校に向かう。
職員室に着いて20時。
「何しに来たん?」 ほとんどの担任たちがいる中で、ツチダ兄貴がボクに言う。
「企画直しに」
「え? 今から?」
「うん、あと13時間ある」
ウチの企画ができる場所は、4階廊下しかなかった。
まだ終わっていなかったらしい高等部の飾りつけの道具を移動し、すごろくのスペースを確保する。
3階から4階へ、すごろくのコマ部分にあたるパーツを剥がして移動。22時。
天井の輪飾りを移動し、点かない蛍光灯を違う場所のものと交換して24時。
そもそも4階には、校舎反対側一番端の書道部しか企画がない。自分たちの企画場所へ来てもらうためには、「こっちでもやっているよ」というアピールが要る。
紙テープとスズランテープを裂いて作ったミニぼんぼん、家から持ってきたポケモンカードゲーム(はるか昔に試しに買って遊んだことがあった)を使って、階段の飾りつけをする。26時。
ここで思わぬ誤算。
100円ショップで安いテープを買ったせいか、用途とは違う使い方をしたせいか、コマを剥がした床にテープの接着剤がべっとりとくっついてしまっている。
このままにはしておけない。
「シールはがし」を使って、廊下全面の接着剤を剥がそうと試みる。28時。
赤や黄色の布ガムテープを使ってコマを貼ってみる。カラフルでなかなか良い。
だいたい貼って、あとは生徒たちが来てからやっても間にあうだろうと判断。28時40分。
さすがに汗を流さないとマズイと思い、帰宅してシャワーを浴び、毛布を持って学校に戻る。
もし万が一に寝過ごしかけても生徒が起…
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