しごとは、だれのためにするもの?
2003年9月21日「調和や連携を考えなければならないだろう」
「連絡・報告を密にしなくてはならないだろう」
「良識ある行動をしなければならないだろう」
「礼節を重んじなければならないだろう」
「節度を保った行動をしなければならないだろう」
そう思って、センセというおしごとをしていた時期もあった。
結果。
報われた気は、あまりしない。
もちろん、ボクの側に社会人としての常識や人間関係の保ち方やその他の何かが足りなかったのかもしれない、とは思う。
でも、判らないんだよね、今でも。
自分の、何がいけなかったのか。
==================
夢を見た。
仕事に慣れてきて、教壇に立つのが充実していた昼。
将来どうしたらいいか判らずに、ひたすらヘコみまくっていた夜。
心底楽しくて心底辛い、あのころの記憶。
ああ、そうか。
秋に、なったんだね。
==================
「一般常識」とか「世間の目」とかいうものではなく、自分自身が納得できるかどうかに忠実で在りたい。
だから。
取れる範囲の責任で、ボクがごめんなさいと言って済む範囲で、好き勝手に仕事をするようになった。
「靴ずれするので、(制服指定外の)運動靴を履いてきてもいいですか」
「どうぞ。ただし、親御さんに『靴ずれするのでしばらく運動靴を履きます』ってお手紙書いてもらってください」
「はい」
「他の子が、『あの子、カッコ良い靴履いてきていいよなあ』ってうらやましがるようなモノはやめてくださいね」
「はい」
「そうなると、『運動靴を履きたい』という理由と違ってきますからね」
「はい」
「もし他の先生に何か言われたら、『せきねセンセが良いって言いました』って言ってください」
「センセ、お願いッスよ! 信じてくださいよ!」
「やだ。おれの出した宿題をやらないヤツは信用できん」
「これからきちんとやりますから!」
「じゃ、今度宿題を出した後に、信じてあげることにする」
「上履きをきちんと履かなかったり、服装をきちんとしないヤツは、部活動でも大成しないから」
「何でですか」
「たとえばサッカーを考える。試合で、体力のぎりぎりまで勝負したとする。そうして日常からのバランス感覚が出た時に、『普通に靴を履き続けているヤツ』と『かかとを踏んで履いているヤツ』と、どっちが良いバランスで動けると思う?」
「たとえばバレーを考える。ネット際ぎりぎりにいる時に、『シャツの裾を出してひらひらしているヤツ』と、『きっちりシャツをズボンに入れているヤツ』と、どっちがネットを取られずに動ける?」
「なんで部活で長い時間をかけて基礎練をやるの? 試合の時なんかのために、体にきちんとした動きを覚えさせるためだろう。その基礎練よりも長い時間、いい加減なことをしていたら上手くなるわけがないだろう」
「同じ程度の技量であるほど、そういう、ものすごく細かい点が勝ち負けを分けるから」
「国語の授業の何が楽しいかって、授業に来ると毎時間1回は『自分の発想を超えること』が起こるんだよね」
「今、眠そうにしているのにぱっと答えてくれたじゃん。ボクはそういう答えは予想してなかったんだよ。楽しいね。今、お前さんはボクを超えていたわけ。すごいよ。将来どういうヤツになっていくのか、すごくわくわくする」
「毎週2時間、古典をしに来て、ボクはこの教室で頭が良くなっていく。これはものすごく有り難い」
「眠い? 眠い? 眠い? そうか。どうしてだろう? 何時に寝た? 何時に起きた? 授業がつまらない? どうしたらいいだろう?」
「他の授業は変えられないけれど、少なくともせきねの授業は変えていくことができる。どうしてほしいか言って。なるべく良くしていきたいから」
「せきねが自己満足をする時間じゃない。他の誰でもない、きみが、頭が良くなっていく時間にしたいんだよね」
「おれって、金八先生じゃないからさあ。凡人だから。下品だし、授業おもしろくないし。かといって『授業つまんねー』言われたら怒るし」
「だいたい、あんなにいろいろなことあったら死んじゃうよ。家族が大変だったら仕事はいい加減にしかやらないし、あんまり聞き分けないヤツは放置しちゃうし。そーいえば、金八先生みたいに生徒のウチへ乗り込んでいったら、家宅侵入罪にはならないの?」
「センセ」
「はい?」←席を立たない
「せきねセンセ?」
「はい?なんですか?」←まだ席を立たない
「プリント」
「プリント、が何?」←やっぱり席を立たない
「プリントください」
「そうです! その場その場で言葉の使い方には充分気を付けないといけません。すばらしい!」
プリントをふたつに折って、生徒に正対し、両手で持って渡す。
「はい、おつかれさま。勉強がんばってね」
こんな調子で、好き勝手に仕事をしている。
「連絡・報告を密にしなくてはならないだろう」
「良識ある行動をしなければならないだろう」
「礼節を重んじなければならないだろう」
「節度を保った行動をしなければならないだろう」
そう思って、センセというおしごとをしていた時期もあった。
結果。
報われた気は、あまりしない。
もちろん、ボクの側に社会人としての常識や人間関係の保ち方やその他の何かが足りなかったのかもしれない、とは思う。
でも、判らないんだよね、今でも。
自分の、何がいけなかったのか。
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夢を見た。
仕事に慣れてきて、教壇に立つのが充実していた昼。
将来どうしたらいいか判らずに、ひたすらヘコみまくっていた夜。
心底楽しくて心底辛い、あのころの記憶。
ああ、そうか。
秋に、なったんだね。
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「一般常識」とか「世間の目」とかいうものではなく、自分自身が納得できるかどうかに忠実で在りたい。
だから。
取れる範囲の責任で、ボクがごめんなさいと言って済む範囲で、好き勝手に仕事をするようになった。
「靴ずれするので、(制服指定外の)運動靴を履いてきてもいいですか」
「どうぞ。ただし、親御さんに『靴ずれするのでしばらく運動靴を履きます』ってお手紙書いてもらってください」
「はい」
「他の子が、『あの子、カッコ良い靴履いてきていいよなあ』ってうらやましがるようなモノはやめてくださいね」
「はい」
「そうなると、『運動靴を履きたい』という理由と違ってきますからね」
「はい」
「もし他の先生に何か言われたら、『せきねセンセが良いって言いました』って言ってください」
「センセ、お願いッスよ! 信じてくださいよ!」
「やだ。おれの出した宿題をやらないヤツは信用できん」
「これからきちんとやりますから!」
「じゃ、今度宿題を出した後に、信じてあげることにする」
「上履きをきちんと履かなかったり、服装をきちんとしないヤツは、部活動でも大成しないから」
「何でですか」
「たとえばサッカーを考える。試合で、体力のぎりぎりまで勝負したとする。そうして日常からのバランス感覚が出た時に、『普通に靴を履き続けているヤツ』と『かかとを踏んで履いているヤツ』と、どっちが良いバランスで動けると思う?」
「たとえばバレーを考える。ネット際ぎりぎりにいる時に、『シャツの裾を出してひらひらしているヤツ』と、『きっちりシャツをズボンに入れているヤツ』と、どっちがネットを取られずに動ける?」
「なんで部活で長い時間をかけて基礎練をやるの? 試合の時なんかのために、体にきちんとした動きを覚えさせるためだろう。その基礎練よりも長い時間、いい加減なことをしていたら上手くなるわけがないだろう」
「同じ程度の技量であるほど、そういう、ものすごく細かい点が勝ち負けを分けるから」
「国語の授業の何が楽しいかって、授業に来ると毎時間1回は『自分の発想を超えること』が起こるんだよね」
「今、眠そうにしているのにぱっと答えてくれたじゃん。ボクはそういう答えは予想してなかったんだよ。楽しいね。今、お前さんはボクを超えていたわけ。すごいよ。将来どういうヤツになっていくのか、すごくわくわくする」
「毎週2時間、古典をしに来て、ボクはこの教室で頭が良くなっていく。これはものすごく有り難い」
「眠い? 眠い? 眠い? そうか。どうしてだろう? 何時に寝た? 何時に起きた? 授業がつまらない? どうしたらいいだろう?」
「他の授業は変えられないけれど、少なくともせきねの授業は変えていくことができる。どうしてほしいか言って。なるべく良くしていきたいから」
「せきねが自己満足をする時間じゃない。他の誰でもない、きみが、頭が良くなっていく時間にしたいんだよね」
「おれって、金八先生じゃないからさあ。凡人だから。下品だし、授業おもしろくないし。かといって『授業つまんねー』言われたら怒るし」
「だいたい、あんなにいろいろなことあったら死んじゃうよ。家族が大変だったら仕事はいい加減にしかやらないし、あんまり聞き分けないヤツは放置しちゃうし。そーいえば、金八先生みたいに生徒のウチへ乗り込んでいったら、家宅侵入罪にはならないの?」
「センセ」
「はい?」←席を立たない
「せきねセンセ?」
「はい?なんですか?」←まだ席を立たない
「プリント」
「プリント、が何?」←やっぱり席を立たない
「プリントください」
「そうです! その場その場で言葉の使い方には充分気を付けないといけません。すばらしい!」
プリントをふたつに折って、生徒に正対し、両手で持って渡す。
「はい、おつかれさま。勉強がんばってね」
こんな調子で、好き勝手に仕事をしている。
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