夏期講座後半の2時間で、教科書の単元をひとつ終わらせる。

「碑」という単元である。
『いしぶみ―広島二中一年生全滅の記録』
  ポプラ社文庫―日本の名作文庫
 の抜粋である。

 チームを組んでいる先生にも協力してもらって、今回学習する題材となった。つまり、ボクがコレをやろう、と提案したわけだ。

1時間目、音読。
 原稿用紙半分以上に感想を書く。書ききれなかったら宿題。

2時間目、全員発表。
 書いた原稿はノートに貼る。

以上。

書いてあることが判ればいい。
素直に感想が書ければいい。
クラスメートの意見が聞ければいい。

 ボクとしては、自虐史観でも戦争肯定でもなく、子どもたち各自の、「人」としての自然な感情と向かい合う授業にしたかった。

 発表の際にふざける子も居らず、それぞれが素直に受け止め、発表をしていった。
「火垂るの墓」「はだしのゲン」の影響は大きいんだな、とも感じた。


 最後に、ボクの個人的な意見を述べた。

「みんなが『戦争は悲惨だ』『よくないことだ』という結論を述べたよね。せきね(仮名)も本当にその通りだと思います」
「なのに、戦争は(世界のどこかで)ずっと続いている。どうしてなのだろう? どうしたら戦争を無くすことができるんだろう?」

「どうですか? どうしたらいいと思う?」
「『だれかがどうにかしてくれる』という期待は持てないと思うんだよね」

「せきね(仮名)の個人的な思いを述べると、『みんなが真剣に勉強をするしかない』と思うんです」

「江戸時代の終わりころの、吉田松陰、という人を知ってますか?」
「明治維新を進めた人たちの先生でもあった人です。この人が小さい時に、『勉強したくない』ってさぼったことがあって、先生にものすごく怒られたときがあった」

「『おまえが一日勉強をしなかったら、国の進歩が一日遅れるのだ、馬鹿者!』って」
(ちなみに、この時にせきね(仮名)が言ったことは、史実とはかなり変わってしまっている。そのまま鵜呑みにして他に紹介しないほうが良いかと)

「センセは同じだと思うんだよね。今回勉強したこと、『戦争はいやだ』と思ったことを、そのままおしまいにしてしまうのではなくて、忘れずにいてほしい」
「そしてさらに、吉田松陰みたいに、『ゆくゆくは世界で活躍するための勉強』をしていってほしいなあ、と思うんです」

「そうしてあらゆる舞台で活躍しているみんなが、『戦争はよくないことだ』と言うようになってはじめて、世界は変わっていくんじゃないのかな」

「だから、みんなに言いたい。ちょっと気恥ずかしいけど」

「『君たちが一日勉強をしなかったら、世界の進歩が一日遅れる』んです」

「というわけで。宿題、やろうね。みんな」


 ちょうどいいタイミングで、授業が終わる。

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